お店がクレジットカード払いを嫌がるのは加盟店手数料を取られるから
クレジットカードはそれ一枚持っていれば支払いができるし、支払いに応じてポイントなどの特典が貰えたりもします。 便利な上にお得なのがクレジットカードです。
しかしお店によってはクレジットカード払いができない事もあります。 現金はかさばるし持ち合わせがない場合もあるしで、こういったお店は不便ですよね。
でもお店側にも事情があるのです。 お店はクレジットカード払いの場合に売上の3~7%をカード会社に加盟店手数料として支払わなければならないので、利益が凄く圧迫されるんです。 利益が半減することだってあるんですよ。
売上と利益率
クレジットカード云々の前にまず基本的な商売の流れを見てみましょう。
レストランで1000円の定食を食べたとします。 レストランにとっては1000円の売上となりますが、これが全て利益になる訳ではありません。
その定食を作るのに当然材料は必要になりますし、食器、テーブル、椅子、店舗なども用意しなければなりません。 それに従業員の給料や電気・ガス・水道代なども払わなくてはいけませんね。
売上からこういった売上げるまでににかかった諸々の費用を引いたものを利益と言い、売上に対する利益の割合を利益率と言います。 平均的な利益率は業種によってまちまちですが、どんなに利益率が良くても20%を超えることはまずなく5%を切る業種も珍しくありません。
年商1憶と聞くととんでもなく儲かっているように聞こえますが、利益率が5%なら利益は500万円で、更にここから1/3は税金で消えます。思ったより世知辛いですよね。
利益が出れば従業員に賞与を支給したり設備を整えたり店舗を増やして商売を広げたりプール金に回したりと言ったことが出来ます。 逆に利益がなければプール金を切り崩したりどこかからお金を借りてこなければなりません。利益を出すってとても大事なんです。
これを踏まえた上で、クレジットカードの加盟店手数料を考えてみましょう。
お店でクレジットカード払いをすると加盟店手数料が取られる
さて話をクレジットカードに戻します。 クレジットカード会社は利用者から会員費や手数料を貰う場合もありますが、利用にお金がかからないクレジットカードも沢山あります。 それどころか無料なのに使用すればポイントが付いてお得になる一方のものも多いです。
そんなクレジットカード会社がどこからお金を貰って運営されているのかと言えば、クレジットカード払いの際の売上の一部を「加盟店手数料」としてお店から貰っているのです。
加盟店手数料はクレジットカード会社や業種にもよりますが売上の3~7%ぐらいが相場です。 仮に5%とした場合、1000円の売上が発生すれば50円はクレジットカード会社に払わなければなりません。
そして厄介なのが加盟店手数料が売上に対してかかってくる点です。 利益率が10%のお店の場合、支払いがクレジットカードだとお店の利益の半分をクレジットカード会社に持っていかれる計算になり、利益率が5%なら全部持っていかれます。 加盟店手数料は結構エグいのです。
また加盟店手数料は規模の小さいお店ほど沢山取られる傾向にあります。 大手デパートなどでは基本的に手数料は低く設定され無料で使えるところすらありますが、小さいお店ほどに手数料が割高になる傾向があります。 これはクレジットカード会社が店の倒産に備える必要があるためですが、これでは小規模なお店はただでさえ少ない利益率が更に圧迫されてしまい導入し難いですよね。
加盟店手数料がお店の規模で変わる理由
クレジットカード会社は利用客の払ったお金を一旦立て替え、後から回収する形をとっています。 しかし立て替えている状態でお店が倒産した場合、お店から全額回収できる保障はありません。
だから倒産リスクの高い小さなお店に対しては手数料を高く設定して帳尻を合わせている訳です。
それでもお店がクレジットカード加盟店になるのは相応のメリットがあると考えているからです。 「カードで買い物したい」と考えている利用者を逃しませんし、カード払いは客単価も上がる傾向にあります。 しかし全てのお店がそうではなく、特に小さなお店ではクレジットカード払いを導入することは逆に自分のクビを絞める結果にもなりかねません。
加盟店手数料を払ってクレジットカードの販促効果を狙うのも良いですが、そのお金を他に回せばもっと良いものを提供したり、オシャレな内装にしたり、値引きすることだってできます。 どれが一番良い結果になるかはそのお店次第でしょう。
そんな事情でクレジットカード決済できないお店があるのでした。 利用者から見ると不便ではありますが、カードでの買い物は一見得なように見えても高い買い物をする羽目になっているかもしれませんよ。