切り株の年輪の広がりで方向を判断するのは割と危険
方位を知りたいけど方位磁石がない時に「切り株の年輪の広がりを見れば分かる」というのは誰もが一度は聞いたことがある方法だと思います。
これは理論的には間違っていないのですが、実際に使えるかは別問題みたいですよ。
年輪の広がりを決める要因は日照量だけではない
植物は光合成により成長するので、太陽の光がよく当たる方向に成長しようとします。 そのため木の断面を見てみると、太陽の光が沢山あたる南側の年輪は幅が広く、逆にあまり当たらない北側は年輪の幅が狭いです。 だから切り株を見ればおよその方角が分かります。
この理論は間違ってはいないのですが、問題は年輪が広がるのは方角以外の要素にも影響されることです。 例えば周囲に南側を遮るような木などの遮蔽物があった場合は南からの日照量が少なくなります。 また斜面に木が生えている場合、針葉樹は谷側に大きく成長し、広葉樹は山側に大きく成長します。
つまりこの判断方法は「周りに遮蔽物がなく平らな地面で育った木の切り株」が必要なのですが、切り株自体が簡単に見つかりませんし、見つかったとしても日照量だけで年輪が広がった保証がないのです。 よさそうな切り株を見つけたとしても、1年前、5年前、10年前に周囲がどうだったかなんて分からないですからね。
そんな訳で切り株頼りの方角判断は見当違いの方角となってしまう可能性があり危険です。 似た判断方法に葉が大きな方角が南とか、苔が多く付いている方が南とかありますが、これらも同様に信用がおけません。
もしもの時の方角判断
星空から判断する
北斗七星の中の上の星2つを左方向に5倍伸ばしたあたりにあるのが北極星です。 二等星でかなり明るめの星なので、見つけやすいと思います。その北極星がある方向が北です。
欠点としては星空が見えないと方角が分からないことですね。 夜の山で方角が分かっても、結局迂闊に動けないので無意味なことも…
アナログ時計と太陽から判断する
太陽は東から昇って1時間に15度ずつ移動し、12時に南になって西に落ちるのを利用した方角判定です。
水平に置いた時計の短針を太陽に向けて、短針と12時の真ん中にある方向が南です。 太陽の代わりに影を使うのも有効で、短針を影に向ければ12時の真ん中が北になります。
この計測は12時ちょうどに太陽が南に来る前提で、場所や季節によってずれてしまいます。 およその方角しか分からないことは覚えておきましょう。
なおこれらは北半球での判別方法であり、南半球では太陽に12時を向けて短針との間が北になります。
磁石で判断する
水の上に棒磁石を浮かべると、N極が北を向きます。 まあ磁石なんて持って歩くなら方位磁石を入れとけよって話になりますか。
そういえばスマホアプリにも方位磁石がありますね。 方位磁石代わりに持ち歩いておけばもしもの時に役に立つかもしれません。
これだけ知っていれば何かしら方角は分かるはずです。 しかしある程度慣れている人ならともかく、素人が方角を知った所でそう上手く活用できない気がするんですがどうなんでしょうか。 仮に私が山で遭難した場合、方角だけ分かっても根本的な解決にはならない気がします。まあグルグル同じ所を回るような事態は避けられるのかな。
ちなみに山で遭難したら無理に山を降りるよりも登った方がいいみたいですよ。 降りるほど迷う場所は増えていきますが、逆に山頂まで行けば正規の道があるはずですからね。