サイの角はヒゲのようなもの
動物の中には角を持つものがいます。 角を持つのはシカ科・ウシ科・プロングホーン科・キリン科、サイ科ですが、サイを除く4科は骨が変形したものです。
しかしサイの角は違います。ヒゲのような物質でできていて、毎日少しずつ伸びているんです。
サイの角は爪や毛のような器官
サイは陸上動物の中でも、ゾウに次ぐ大きさを持つ動物です。 非常に硬い皮膚を持ち、時速50km以上のスピードで突進します。 成体のサイは非常に強力で、相手がライオンだろうと狩られることはまずありません。
そんなサイは頭に角を持っています。 種類にもよりますが、シロサイやクロサイなどは1mを超える立派な角を鼻の先に持っています。 肉食獣などと戦う時には、相手をかち上げたり突進時に突き出したりと強力な武器になります。 ジャワサイのメスを除けば、どのサイも立派な角持ちです。
しかしこの角、実は骨ではなく毛や爪のような器官で、中に空洞がありません。 そして毎日数mm伸び、成長とともに1mを超えるような角を形成するのです。
なので欠けたり破損したぐらいならまた生えてくるのです。 しかし大人になってから大きく破損したり、根元から切り取られたりしてしまうと完全な再生は難しいようです。
そんな強力なサイですが、実はその角のせいで絶滅危惧種となっています…
角のせいで絶滅危惧種となったサイ
実は多くのサイが絶滅危惧種にしていされています。 あれだけ強力な動物なのに何故?…答えはサイより強力な人間のせいです。
サイの角はインテリア、雑貨、漢方薬(鳥犀角)、ガンの特効薬など、様々な用途に重宝されています。 もっとも、薬としての効用は無いに等しい都市伝説のようなものですが。 ちなみに日本においても古くから薬として重宝されていたんですよ。
そのせいで密漁が後を絶たず、その数を大きく減らしてしまいました。 「角が伸びるなら殺す必要はないのでは?」と思うかもしれませんが、密猟者からすれば生きたサイの角を取るのはリスクがありますし、ハンターに見つかる前に逃げなければなりません。その結果多数のサイが殺されてしまったのです。
ワシントン条約によりサイの角の取引は規制されているのですが、ネットの発達によって闇取引が後を絶たず、近年の密売件数は増加傾向を見せ、価格も右肩上がりで吊り上がっています。 サイの角の価格を某ダークウェブで検索したところ、1万円/g近くもの値が付けられていました。 今しがた金の相場を調べたら4723円/gでしたので、金の2倍もの価格で取引されていることになります。
密漁対策としてサイの角をあらかじめ切り落としておく、チップを埋めて管理するなどの措置が取られているようですが、中々対応が難しいようです。2015年のアフリカにおける密漁数は過去6年で最悪の1300件だったと発表されています。
かつては日本も1970~80年代は世界最大の野生動物消費国として悪名高い国でした。 しかし1980年にワシントン条約を締結し、マスコミやNGOを通じて国民意識が高まった影響もあって国内の状況は大分改善されました。 この意識改革をアジア諸国・ひいては世界中に広げられるといいですね。