商品の宣伝文句「モンドセレクション受賞」とは一体何なのか
最近飲み食いをしていると、よく「モンドセレクション金賞受賞」と謳っているものを目にします。 金賞だから何かの大会で優勝したのかと思っていましたが、それにしては金賞が多すぎますよね。
いつの間にやら日本に身近な存在となったモンドセレクションとは一体なんぞやという話をします。
モンドセレクションとは
モンドセレクションとは商品の品質評価を行っているベルギーの民間団体です。 以下、公式サイトへのリンクです。
LINK
Monde Selection審査対象はお酒、飲料品、食品、ダイエット&健康製品、タバコなどで、70名の審査員たちが品質を独自の基準で評価しています。 サイトフォームに必要事項を記入し、費用を支払って商品を発送するとエントリー&審査される仕組みになっています。
審査は評価点数に応じて賞が認定される絶対評価であり、賞の本数は設定されていません。 60点以上が受賞対象で、受賞すると商品に優秀品質ラベルを三年間表示することが可能です。
賞 | 点数 | 2018年受賞品数 |
---|---|---|
特別金賞 | 90~100点 | 407品 |
金賞 | 80~89点 | 1350品 |
銀賞 | 70~79点 | 672品 |
銅賞 | 60~69点 | 155品 |
審査員賞 | – | 5品 |
受賞品数/応募総数 | 2584品/2820品 |
「モンドセレクション金賞受賞」という触れ込みを良く聞きますが、実は上に「特別金賞」が存在しています。 堂々と「金賞受賞」と聞くと一番すごい評価だったんだなと思ってしまいますが、そうではなかったんですね。
また通常の各賞とは別に各カテゴリに一品、際立った特性を持つと認定された製品に「審査員賞」が贈られます。 最高得点の製品に贈られる訳ではないと書いてありましたが、賞の希少性の高さから実質的な最高評価のようにも思えます。 でも審査員賞って響きがあまり良い評価に聞こえませんよね。
ちなみに2018年に日本製品である「ザ・プレミアムモルツ香るエール」がモンドセレクションのビール部門において特別金賞と審査員賞を受賞しています。 しかしながら全面に押し出しているのは「特別金賞受賞」の方であり、審査員賞は下の方に控え目に書いてありました。 賞の権威的には審査員賞を推すべきだと思いますが、語感の問題なんですかね。
日本企業ばかり応募している?
さてこのモンドセレクション、サイトに統計情報が公開されています。 2018年には90か国、973企業、2584製品の応募があり、各大陸ごとの応募国数、応募企業数、応募製品数が公表されています。
統計ではヨーロッパのコンテストなのにもかかわらずアジアからの応募数が突出しています。 なんと2584品のうち2051品の8割以上がアジアからの応募となっていました。…段々胡散臭くなってきましたね。
アジアのうち日本がどれだけを占めるかは分かりませんが、アジアの参加国数は他大陸と比べて少ないにもかかわらず、応募企業数は圧倒的に多いです。 また統計ページの世界地図にある日本はやけに濃い色で塗られており、受賞製品にも日本製品が非常に多く目に付きます。
これらの情報から、モンドセレクション応募の大部分を日本製品が占めていると推測できます。
国際的な知名度は低い?
2018年の統計によりますとアジア(大体日本)を除いた応募企業総数は224社、応募製品総数は533品です。 更新が三年置きとは言え、応募に特に制約がある訳でもないのに世界中から参加を募ってこの程度の応募数に収まるのでは、国際的な知名度があると言えないでしょう。
むしろ日本でだけ知名度が無茶苦茶高いのが謎ですよね。 これはまあ、国際情勢に疎く西欧文化をありがたがる日本の国民性を利用した、企業のマーケティング戦略の結果なんじゃないかと…。
金を積めば受賞できる?
2018年統計によりますと、モンドセレクションの応募数は2820品、受賞品数は2584品、金賞以上の受賞品数は1757品です。 応募した90%以上が受賞、60%以上が金賞以上の計算になります。
この受賞率の高さから「金を積めば受賞できる」とも揶揄されますが、必ずしもそうではないと思います。 審査にお金がかかるので受賞できる自信がなければ応募しませんし、それでも10%の製品は受賞を逃しています。
一定の品質を保証する目安になっているのは間違いないでしょう。 ただ日本で流通・支持されている品質の製品がワザワザ応募するほどのものではないのでは…という気もしますが。
受賞すれば良いことある?
公式ページの「参加のメリット」にこのようなことが書かれていました。
日本での売上を伸ばしたいと思い、モンドセレクションに応募した結果、売上が初年度の3倍になるという成果がみられました!
このように売上が増えるのなら、企業が応募する理由も頷けますね。
もっと踏み込んで言いますと、日本人は賞のことをよく理解しないまま、モンドセレクションを何となく凄いことだと思い、受賞製品の売れ行きがよくなり、そんな状況に企業が乗っかっているだけのようにも思います。
日本人は西欧と権威主義に弱いですからね…