知らない植物を食べられるか判断する「可食性テスト」
あなたが山で遭難したり無人島に漂着してしまった場合、長丁場になればどうにかして食料を調達しなければなりません。 知っている果物や野菜が豊富に生えていれば良いですが、人が入り込まない場所なんて見たことのない野草しか生えていない可能性が高いです。 そして中には体に毒となる食べ物もあるでしょう。
そんな危険かもしれない物を食べられるか判定する方法が「可食性テスト」です。 知っているともしもの時に役に立つ…かも?
可食性テストの前に
可食性テストはあくまでも一つの目安でしかなく、絶対に安全な訳でもありません。 テストで食べたものによって体調を崩す可能性も高いですし、最悪死ぬ危険もあります。
食べ物が何も無い状態でも数日のうちに救助して貰える可能性が高ければ可食性テストを試みるべきではありません。 可食性テストによって体調を崩すぐらいなら数日絶食した方がマシな結果になる場合も少なくないからです。 食料不足が長期間に及ぶ時の最終手段だと心得てください。
またテスト以外でも食べられる物を判断する手段はあります。 まずは植物辞典などで調べる、他の動物が食べているものを見極めるなどした方がリスクが低いです。 もっともこれらの方法も完全に安全なものとはとても言えませんが…
ちなみに植物全体を俯瞰して見ると、人を死に至らしめるほどの強い毒性を持つものはそれほど多くありません。 なので緊急時の食料事情を改善させる方法として可食性テストをやってみる価値は十分にあります。 しかし危険な行為であることに変わりはないので、あまり安易に考えない方が良いでしょう。
可食性テストの前提知識
豊富に生えている植物でテストしよう
可食性テストはそれなりに時間がかかる上に危険な行為なので、なるべく判定回数が少なくて済むようにすべきです。 だから見つけるのが困難な植物ではなく豊富に生えている植物を選びましょう。
パーツごとにテストしよう
植物は根、茎、葉、実、花などのパーツ毎に食べられるかどうかが違うので、テストはパーツ毎に分けて実施する必要があります。
実には毒があるけど根は食べられるなんてこともあるので、パーツの一つが毒だからと諦めるのは早計です。
調理が可能な環境なら加熱しよう
もし調理が可能な環境であれば、植物を煮てからテストするのも手です。 自然毒の中には加熱して毒性を分解できるものもあるため、調理は植物の可食性を高めてくれます。
また生では食べにくいものでも、調理によって食べやすくなったり味が向上したりもします。 長期的に調理が可能な環境を確保できるのならば、加熱調理を試みましょう。
テスト前8時間は何も食べない
何か食べてすぐに可食性テストを行ったり、複数の植物で並行して可食性テストを行うと、体に現れた影響が何によるものなのか分かりません。 また満腹状態では食べたものの吸収が抑えられて正しいテスト結果が得られない可能性もあります。
テスト前8時間およびテスト中は水以外は何も飲み食いせずに、体の状態をニュートラルに保ってから試験に臨みましょう。
可食性テストの実施方法
食べられそうな植物を見つけたら可食性テストを行います。 もし手順の中で異常を感じた場合、そこでテストを止めて状態の回復に努めてください。
植物の接触毒を確認する
植物を手首や手の甲など適当な場所に15分間乗せて様子をみてください。
問題なければさらに植物を3分間唇に当て、唇に起きた反応を確認してください。
これで腫れ、痛み、痒みなどの反応があるようなら接触毒のある可能性があります。 食べるのは諦めましょう。
植物に含まれる毒を確認する
植物を15分間舌の上に乗せてみてください。
問題なければ一旦吐き出し、植物を少量口に入れて15分間咀嚼してみてください。
特徴的な辛さ、舌の痺れ、痒み、不快感などを感じたら毒がある可能性があります。 食べるのは諦めましょう。
食べて問題ないかを調べる
ほんの少しだけ飲み込んで、8時間じっとして様子を見ましょう。 もし異常を感じたら直ちに嘔吐して吐き出し、大量の水を飲んで休みましょう。
何も異常がなければ食べる量を少し増やして再び8時間様子を見るのを繰り返し、食べる量を少しずつ増やしていってください。
こうして普通に食べても問題ないことが分かれば可食性テストは成功です。 絶望的な食料事情にいくらか光明が射したと言えるでしょう。
他の植物も同様にテストして食料事情が改善すれば、食料がない状態で長期間の生存も可能かもしれません。 後は一日も早く状況が改善するように祈りましょう。