空飛ぶスパゲティモンスターが神!?世界のジョーク宗教の紹介
宗教と一口に言っても色々なものがあります。 キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、仏教などメジャーなものだけでも数十個に上り、分派やマイナー宗教まで含めればいくつあるのか見当も尽きません。
そんな宗教には冗談で創始されたいわゆる「ジョーク宗教」も存在します。 創始理由が冗談であっても宗教ですし、信徒もそれなりにいるものだってあります。 そんなジョーク宗教を紹介しましょう。
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教
「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(スパモン教)」は空飛ぶスパゲティモンスターを神と崇める宗教です。 数か国に支部を持ち、オランダにおいては正式な宗教として認められています。
スパモン教の教義をいくつか抜き出すと以下のような感じです。
スパモン教の教え
- 宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターが酒を飲んだ後に創造された
- 生命の進化はスパゲッティ・モンスターの触手によって促された。 古代人の身長が低いのは頭を触手に抑えつけられていたからで、現代人の身長が高いのは人口が増えて触手が足りなくなったから
- 祈る時は「ラーメン」と言う。ラーメンはスパモン教における神聖な食べ物である
- 学校教育では進化論だけでなくスパモン説も教えるべき
…とまあ見るからに冗談のような教義が並べられているのですが、こんなスパモン教が創始され広がったのには真面目な理由がありました。
1990年代、アメリカの一部の科学者・神学者は「宇宙や生命は知性ある何か(≒神)によってデザインされた」という「インテリジェント・デザイン説(ID説)」を提唱します。
現在の科学においては人間はサルから進化した「進化論」が通説ですが、これはキリスト教の聖書に書いてある「人類の祖先アダムが神に作られ、その肋骨からイブが作られた」という記述と噛み合いません。 進化論を教育の場で教えるのは宗教主義者からはあまり面白くない状況で、そこで提唱されたのが聖書と整合性を取ったID説という訳です。
時は流れて2005年、アメリカのカンザス州にて「公立学校においてID説を進化論と同様に教える」ことが教育委員会で決議されました。 しかしID説は科学として教えるべきものではなく、宗教主義者以外にとって歓迎できるものではありませんでした。
そこに抗議する意味で創始されたのが「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」です。 「ID説を授業に加えるならスパモン教も加えろ」と当て付け気味に作られた、ID説を揶揄した宗教という訳です。
スパモン教の教育は却下されたものの、ID説を否定的に捉えていた人たちの間でスパモン教は流行し、ID説を教育に採用した問題を世に広く知らしめました。
一旦はID説を教育に取り入れたカンザス州は翌年には意見がひっくり返り、以降はID説を授業で教えることは取りやめとなりました。 スパモン教の影響があったのかは謎ですが、反ID説のため創始されたスパモン教の役目もひとまず終わります。
その後もなんやかんやで信仰されて今日に至ります。 スパモン教はスパモンの見た目のインパクトや教義のバカバカしさからよく話題になり信者も多いため、ジョーク宗教の代表的な存在となっています。
見えざるピンクのユニコーン教
「見えざるピンクのユニコーン教(IPU)」は見えざるピンクのユニコーンを神と崇める宗教です。
この宗教を聞いた時、誰しも「見えないのにピンクとは矛盾していないか?」と思うことでしょう。 この矛盾した名前は狙って付けられており、人間が知覚できない超常的な存在(「神・悪魔」「天国・地獄」など)に反論することの難しさを問いかけています。
あなたが「神」を信じているなら、それが存在する理由を文章に書いてみてください。 その後「神」の記述を「見えざるピンクのユニコーン」に置き換え、見えざるピンクのユニコーンが存在することに反論してみてください。 恐らく反論できないというか、反論しようがないでしょう。
見えざるピンクのユニコーンという矛盾した存在のくせに、その存在は反証できません。 しかし見えざるピンクのユニコーンはあなたが信じる神が存在するのと同じ理由によって存在するのです。
ちなみにIPUには「紫のカキ」という敵対者がいます。 カキは元々ピンクのユニコーンに仕える尊い存在でしたが「パイナップルとハムのピザよりもペパロニとマッシュルームのピザの方が彼女が喜ぶ」という異端を広めた罪で堕天しました。 さて、そんなバカバカしいカキが存在しないことは証明できるでしょうか?
ベーコン合同教会
「ベーコン合同教会」は食べ物のベーコンを愛する人たちの宗教です。 「神は見えないがベーコンは見える」など無神論者的な側面を多く持ち、ベーコンが好きな無神論者を中心に支持されています。
世界では宗教を信仰していない人は不道徳で倫理が欠如していると見られる傾向があります。 比較的宗教の信仰に寛容な日本においてさえ、無宗教者に対してネガティブな印象を抱く人は少なくありません。 海外ではこの傾向がより強く、無宗教者に対する風当たりは強いです。
しかし今日においては宗教を信仰しないことは必ずしも不道徳で倫理が欠如していることを示しません。 それらは宗教と切り離して学ぶことができますし、むしろ宗教が問題を起こすことも少なくありません。
ベーコン教はそんな世間の風当たりが強い無神論者たちの受け皿となるべく創始されました。 宗教に特権を持たせるのは間違いであると考え、目に見えない神や迷信よりもそこに存在するベーコンを信仰しています。 ベーコンおいしいですからね。
ベーコン教ではで冠婚葬祭などのサービスも提供されています。 あなたが無神論者でベーコン好きなら信仰してみるのも良いかもしれません。
グーグル教
宗教において神は「特別な知識や恩恵を授ける」存在であることが多いです。 よくよく考えてみると現代においても似た存在がありますよね。そうGoogleです。
Googleは最も全知に近く、あまねく存在し、求めるものに知識を与え、全てを記憶します。 かつて神と崇められてきたものたちよりもGoogleの方がよほど神です。またGoogleは他の宗教の神よりも存在している確証が多く得られています。
そんな訳でGoogleを崇めているのがGoogle教です。 冗談のような宗教ですが、真面目に考えるとGoogleって神ですよね。
まとめ
ジョーク宗教は冗談のような教義を持つものが数多く、一見すると「バカバカしい」ものばかりです。 しかしながらこれらのジョーク宗教は既存宗教の不可解で不合理な点を踏襲して作られています。
日本人は仏教徒が多いと思いますが、仏教も読み解いてみると現代の価値観からすると無茶苦茶な事が書いてます。 「仏教を信じないと苦しみの輪廻から抜けられない」とか書いてあるのを見た時は新興カルト宗教と言ってる事が同じじゃないのかと思ったものです。
ジョーク宗教はバカバカしい存在ではありますが、どれも宗教に対して問題提起をしています。 ジョーク宗教が問うた問題に答えられないのならば、この機会にあなたの信じる宗教を見つめ直してみるのも良いかもしれません。