クジャクの羽が役に立たないのに大きい理由「ハンディキャップ理論」

Peacock

クジャクの煌びやかな羽は鳥本来の空を飛ぶためのものではなく、繁殖期のオスのみに生えてくるアピール用の飾り羽です。 大きいほうがメスにモテるのですが用途はそれだけで、繁殖期が終わると抜けてしまいます。

クジャクの天敵にトラやヒョウがいますが、この大きな羽は目立って仕方ありません。 モテるための大きな羽は天敵に見つかりやすくなる性質も併せ持っており、生存を考えると小さな羽の方が都合がいいのです。

生存に不都合な大きな羽を持つクジャクの方がモテるのは非合理的で謎ですよね。 それを説明したのを「ハンディキャップ理論」と言います。

ハンディキャップ理論とは

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ハンディキャップ理論とは、生物学者アモツ・ザハヴィによって提唱された、一見非合理的な動物の性質や習性を説明した理論です。 この説明には前述したクジャクがよく例に使われます。

クジャクには天敵がおり、目立つ羽は天敵からの目印になってしまいます。 だから目立つ大きな羽を持つクジャクは生存するのが難しいです。

それにもかかわらず大きく煌びやかな羽を持つクジャクは「ハンデがあるにもかかわらず生き残っている優秀な個体」とも言えます。 そう考えると非合理的であるはずの飾り羽の大きさがメスへのアピールになるのも頷けますよね。

またハンディキャップ理論は同種だけでなく異種の動物間においても成り立ちます。

ガゼルやシカの一部が捕食者を遠くに見つけた時、その場で高くジャンプする「ストッティング」と呼ばれる行動を取ることがあります。 普通に考えるとさっさと全力で逃げるべき状況なのになぜかその場でピョンピョン跳ね続け、まるで捕食者に対して挑発しているかのようにも見えます。

一見すると無意味な行動に見えますが、しかしここでやたら高く元気に跳ねる個体がいたとしたら捕食者はどう思うでしょうか。 「こいつを捕まえるのは正直しんどそう」「追いかけても失敗しそうだから他の獲物を探そう」となりますよね。

ちなみにストッティングせずにさっさと逃げるガゼルは捕食者に狙われる確率が高いそうです。 ガゼルにとってはさっさと逃げるのが最も合理的な行動のはずなのですが、チーターからするとストッティングで能力をアピールできない弱者のように映るのでしょうか。

こういった「一見するとただのハンデなのに実は他者へのアピールになっている」のがハンディキャップ理論です。 反論も多く仮説に過ぎない理論ではありますが、頷ける部分もあるのではないでしょうか。

人間同士でも有効なハンディキャップ理論

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ハンディキャップ理論はクジャクやガゼルだけの話ではなく、人間社会においても顕著に見られます。 ひとつ例を挙げてみましょう。

あなたは会社の採用担当で、2人のうちから1人採用する状況にあるとします。 一人は親が金持ちで幼稚園から難関私立に通い、そのまま難関大学を卒業して留学経験まであります。 もう一人は貧乏育ちでバイトと奨学金で学費を工面し、親に仕送りをしながらそれなりの大学を卒業しました。

さてどちらを採用すべきでしょうか? 単純な能力だけを見た場合は、難関大学を卒業して留学経験まである方が良いように見えます。 しかし貧乏というハンデを跳ね返してそれなりの結果を出した方を評価する人も多いのではないでしょうか。

「こんなハンデがあるにもかかわらずこんな事をした」といった話はよくアピールに使われる手法です。 何かを実現した時に何かしらハンデを持った方に優位性を感じるのは人間も変わらないのですね。 もしあなたが他者へアピールしたいのにアピールすることがない場合、自分のハンデをアピールするのも手かもしれませんよ。

ただしハンディキャップ理論は相手にハンデのシグナルが正確に通じることが前提となります。 「手足に5kgの重りを付けて生活したにもかかわらず優秀な成績で卒業した」と言っても「重りを外せよ」で終わってしまいますよね。 適切な状況で適切にハンデをアピールしましょう。

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