フグの毒は後天的なもので、エサを管理すれば無毒なフグも作れる
毒がある食べ物と言えばフグです。 フグ毒・テトロトドキシンは少量でも死に至るような劇毒で、その危険性から専門の資格を持つ料理人以外が調理することは法律で禁止されています。
しかし実はフグはその毒性を日々のエサから取り込んでおり、生まれた時点では無毒です。 そのため無毒なエサ与えて育てられた養殖フグは、無毒なフグになるのです。
フグが毒を持つ仕組み
フグは産まれた直後は毒を持っていません。 フグはフグ毒を自分で作るのでなく、外部から取り入れています。
フグはエサとして有毒なヒトデや貝などを好んで食べ、その毒を体内に蓄積させていきます。 長く生きたフグほどに取り入れた毒も多くなるため、毒性は強力になっていきます。
フグが毒を持つエサを食べて平気なのは、毒に対して非常に高い耐性を持っているからです。 自分は平気なのであえて毒のあるエサを食べ、体に毒を蓄えることで己の身を守っています。
むしろ毒を取り込まないと不安なようで、無毒なエサだけを与えて育てたフグは積極的に毒餌を食べようとします。 時には共食いのように天然フグに襲い掛かることすらあるそうです。
フグはより強い毒を持っている方がモテるなんて話もあります。 フグにとってフグ毒は無くてはならない大切なものなのです。
無毒なフグの作り方
ここまでお話しすれば毒のないフグを作る方法はもう分かりますよね。 養殖場で毒のあるエサから隔離して、ひたすら無毒なエサだけ与えて育てれば良いのです。
既に無毒なフグを養殖することに成功していますが、しかし一般には流通していません。 これは無毒なフグでも一般的に毒があると言われている部位を出すのは犯罪になるからです。
しかし法律を変えれば良いという話ではありません。 フグの毒の有無は見た目から判別できないので、何かの間違いで有毒フグと取り違えると大変危険だからです。
全身無毒のフグを思いっきり食べられる日はくるのでしょか?
期待に胸を膨らませながら待ちましょう。フグだけにね。
フグの恐るべき猛毒
フグが持つ毒は猛毒の代表格テトロトドキシンです。 その致死量はわずか1~2mgで、刑事ドラマなどに出てくる青酸カリの1000倍近い毒性を持っています。 フグを食べて中毒死する人は古今東西で後を絶たちません。
フグはよく肝や内臓に毒があると言われますが、実は種によって毒を持っている部位が違います。 サバフグのように全身無毒でまるごと食べられる種もいれば、ドクサバフグのように全身猛毒でどこも食べられない種もいるのです。
肝や内臓を食べなければセーフという認識が通用しないフグもいるので気を付けましょう。
ちなみにサバフグとドクサバフグは名前が似ていることから察せるように、姿形が非常に似ていて素人目には見分けが付きません。 フグの判別はプロでも難しいので、素人判断で食べるのは止めましょう。