未来からやってきた猫型ロボット「ドラえもん」の雑学

微笑み手を振るドラえもん

ドラえもんは2021年で生誕50周年となり、今もなおアニメ放送が続く長寿番組です。 日本の国民的アニメの中でも代表格のひとつで、海外でも高い知名度があります。

そんな誰もが知るドラえもんですが、そうマジメに見られるものではないため意外に知られていないことも多いです。 そんなドラえもんに関する雑学をお話します。なお細かい設定は媒体によって変わるので、原作中心に大まかなところをお話します。

ドラえもんの設定

ドラえもんは22世紀出身のネコ型ロボットで、制作年は2110~2120年代とされています。 元々は猫耳がついており体色は黄色でしたが、ネズミにかじられて耳を失い、3日3晩泣いたことでメッキが落ちて青くなりました。

身長・頭囲・胸囲は全て129.3cm、体重は129.3kgです。 129.3という数字が並んでいるのは、連載雑誌だった「小学四年生(※雑誌名)」の平均身長にちなんだそうです。 パワーも129.3馬力と人間とは比べ物にならないぐらい力持ちで、重い秘密道具でも軽く持ち上げてしまいます。

部位設定備考
何でも吸いつけるペタリハンドで掴んだり握ったりできる球形なのでジャンケンはグーしか出せない
反重力装置で地面から3mm浮いている部屋でも外でも土足で大丈夫
心臓原子炉食べ物を原子力エネルギーに変換する
尻尾機嫌が悪いとピコピコする
引っ張ると機能停止する
初期は引っ張ると透明になる機能があったが、便利すぎるためなかったことに

ドラえもんの初台詞は超物騒

ドラえもんの第一話は正月にのび太が部屋で一人くつろいでいるところから始まります。 のび太が「今年はいいことがありそうだ」と独り言を言うと、机の中から声が聞こえてきます。

その声の主こそがドラえもんで、記念すべき初台詞は「いやあ、ろくなことがないね。野比のび太は30分後に首を吊る。40分後には火あぶりになる」と物騒すぎる内容です。 私ならドラえもんのことを妖怪か呪いの人形の類だと思いますね。

のび太はこのあと、木に服がかかって首つり状態になったり、水浸しになったのでストーブに当たったり(一種の火あぶり)します。 予言が当たったことに驚き、ドラえもんが未来からやってきたことを信用したのでした。

のび太の元の未来は悲惨

第一話ではドラえもんと共に玄孫(孫の孫)であるセワシがやってきます。 のび太の悲惨な未来を変えるためにドラえもんを送ったと言い、セワシが語ったのび太の未来は本当に悲惨です。

のび太は大学に落第して就職できないので自分で起業したものの、5年後に会社は丸焼けになり更に2年後に倒産しました。 子孫が100年かけても返しきれないほどの借金を作り、そのせいでセワシたちは貧乏暮らしをしています。

また19年後にジャイアンの妹であるジャイ子と結婚し、写真を見る限りでは6人の子に恵まれます。 写真ではジャイ子が肥え太っているのに対してのび太はやせ細り、なんだか悲壮さを感じます。

ドラえもんが送られてきた理由はそんなのび太と子孫の未来を変えるためです。 未来が変わったらセワシは生まれない気がしますが、セワシによると他で釣りあいが取れて結局生まれるらしいです。

しかしドラえもんの影響で結婚相手がジャイ子からシズカちゃんに変わっているエピソードがあったのですが、 これは流石に重大な影響がありそうですよね。…どうなんでしょうか?

ドラえもんはお餅も大好き

ドラえもんと言えばどら焼きが大好物です。 これは四巻にてスネ夫がドラえもんを買収するために用意した20個のどら焼きを「どら焼きは大好物なんだ」と嬉し泣きしながら食べて定着した設定です。

それまでのドラえもんの大好物と言えば「お餅」でした。 初登場時にのび太が食べていたお餅を「うまいもんだなあ」と勝手に食べ尽くしています。

ちなみにドラミちゃんの好物はメロンパンです。

ネズミに破壊兵器を使うドラえもん

ドラえもんはネズミが大の苦手で、ネズミが出ると大きく取り乱します。 部屋のドアを開けたのび太とママに、ネズミだと思ったドラえもんが機銃掃射してあわや大惨事になるところだったほどです。

ドラえもんは家に出たネズミを一刻も早く退治しようと、のび太には一発で戦車を吹き飛ばす「ジャンボ・ガン」を、ママには一瞬で鉄筋ビルを煙にする「熱線銃」を渡します。

しかしいくら探してもネズミは出てこず、業を煮やしたドラえもんは「地球はかいばくだん」まで持ち出します。 ドラえもんがこんな破壊兵器を平然と持っているとは驚きです。

驚いたのび太とママが「ネズミは逃げた」と嘘をついてその場は収まりましたが、ネズミに破壊兵器を使おうとするとは恐ろしいロボットですよね…

ドラミちゃんとドラえもんの性能は格が違う

ドラえもんにはドラミちゃんという妹ロボットがいます。 ドラえもんがどこか間が抜けておっちょこちょいなのに対し、優秀でしっかり者の妹として描かれることが多いです。

実はこの二人の性能はそんな印象以上にかけ離れています。 ドラミちゃんはドラえもんの三倍もの知能を持ち、パワーに至ってはドラえもんが129.3馬力なのに対してドラミちゃんは1万馬力を誇ります。

後に作られた機械の性能が良いのは当たり前と言えば当たり前ですが、ドラミちゃんが作られたのはせいぜい数年後です。 ドラえもんが試作機みたいなものだったのか、ドラミちゃんが高級機として作られたのか…

なおドラミちゃんはカタログスペックは高いのですが、優秀すぎる反動かピンチや想定外のことにパニックを起こしやすいです。 そんな時には兄のドラえもんに頼ることが多く、性能差があっても兄妹として上手く回っています。

恐怖の秘密道具バイバイン

ドラえもんは数多の秘密道具を持っていますが、メジャーどころではないけど有名なのが「バイバイン」です。 塗ると5分ごとに倍に増えるという効果で、のび太は栗饅頭に塗って増やしました。

ドラえもんは絶対残さないよう忠告しましたが、のび太は調子に乗って増やし過ぎて食べきれずにこっそりゴミ箱に捨ててしまいます。 そしてドラえもんには食べきったと嘘をつきましたが、ドラえもんの「1日放置すれば栗饅頭で地球が埋まる」という話を聞いて怖くなって白状します。

その頃にはすでにゴミ箱から溢れるほど増殖していたので、ロケットに積んで宇宙の彼方に放逐することになりました。 どう考えても宇宙の膨張速度より栗饅頭の増殖速度の方が早いので、ドラえもん世界はそのうち栗饅頭で埋まってしまうかもしれません。

のび太が嘘をついたのはもちろんダメですが、普段から言動の怪しいのび太にこんな危険な道具を軽々と貸すドラえもんもどうかしています。

のび太は実力で100点とったことがある

のび太は頭が悪いことに定評があり、テストでは0点を連発し30点でも褒められるほどです。

そんなのび太ですが実力で100点を取ったこともあります。 ドラえもん25巻で題名は「な、なんと!!のび太が100点とった!!」です。

テストは分数の計算問題で小学四年生の問題にしては簡単ですが、運で100点がとれるものではありません。 しかし先生には褒められたものの、周囲には信じてもらえずドラえもんに至ってはカンニングを疑ってきました。

怒ってふて寝するのび太のために秘密道具で皆にアピールするも、大事になり過ぎたのでアピールは取りやめることになりました。 そうしてのび太がテストを机の奥にしまおうとするところをママが見つけ、泣いて喜んでくれるのでした。

のび太の特技「射撃」「あやとり」「昼寝」

何をやってもダメなのび太ですが、3つの素晴らしい特技を持っています。 「射撃」「あやとり」「昼寝」です。

日常では役に立たないものばかりで、特技と言ってものび太なんだからちょっと人より得意なぐらいだろうと思うかもしれません。 しかしのび太の水準は人類最高と言っても過言ではないほどです。

射撃は武器を選ばず百発百中のうえに0.1秒の早撃ちです。 映画「のび太の宇宙開拓史」では宇宙一の殺し屋ギラーミンに勝利したほどです。

あやとりは自分で編み出した高難易度のオリジナル技を素早く簡単に繰り出します。 実生活では役に立っていませんが、もしもボックスであやとりが盛んな世界にした際には1憶円でスカウトが来たほどの技量です。

昼寝は寝ようと思えばどこでも素早く眠れるというもので、ママに怒られながらでも数秒で眠ります。 もしもボックスで眠る人ほど偉い世界にした際にはなんと0.93秒で眠った記録を打ち立てています。

のび太は世が世なら天才として名を馳せていたかもしれません。

空地にある土管は?

子どもたちは学校が終わると空き地に集まって遊びますが、そこには積まれた三本の土管があります。 いったいなぜこんな物があるのか不思議に思いますよね。

これは連載当時の1970年頃、東京で盛んに水道工事が行われていたためです。 埋められる前の土管がそこら中の空き地に置かれていたそうです。

ドラえもんは一度未来に帰っている

ドラえもんは全45巻の長編ですが、実は6巻の「さようなら、ドラえもん」にて一度未来へ帰っています。 有名な「ドラえもん、きみが帰ったら部屋ががらんとしちゃったよ。」というのび太の台詞はこの時のものです。

ドラえもんは諸事情で未来へ帰ることになり、残されるのび太のことを心配していました。 のび太は「自分がちゃんとしないとドラえもんが安心して帰れない」と一人ジャンアンに立ち向かい、のび太の根性を見届けたドラえもんは安心して未来へと帰っていきます。

実は当初はこの話が本当に最終回の予定でしたが、作者の藤子・F・不二雄氏の創作意欲が尽きなかったため連載が続くことになりました。 そのため次話でドラえもんが帰ってきます。

ドラえもんはもしもの時のために、言ったことが嘘になる秘密道具「ウソ800」を渡していました。 のび太はこれをジャイアン・スネ夫と戦うために使い、帰宅後「ドラえもんは帰ってこないんだから。もう二度と会えないんだから」と独り言を言いながら部屋に戻ると、ドラえもんが帰ってきていたという訳です。

ドラえもんの最終回

ドラえもんは連載中に作者の藤子・F・不二雄氏が亡くなったため未完ですが、三つの最終話が存在します。 うちひとつが前項のものですが、ウソ800により最終回ではなくなりました。

それ以前に二つの最終回が用意されたのは当時の連載雑誌が小学四年生を対象とした「小学四年生」だったことに起因します。 購読するのは基本的に小学四年生の間だけなので、学年末の読者に向けて便宜上の最終回があった訳です。

時間渡航禁止ver

未来からの時間旅行者が過去に迷惑をかけるようになって、過去への時間渡航が禁止になるというものです。

もちろんドラえもんも例外ではなく、のび太とドラえもんは「別れるのは嫌だ」と泣きますが、どうしようもなくドラえもんは未来へと帰っていきます。

「つくえの引き出しは、ただの引き出しにもどりました。でも……、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」とのび太が一人想って物語は終わります。 少し物悲しい内容ですね。

ドラえもん故障ver

のび太がドラえもんに頼りきりなのを、セワシとドラえもんは悩んでいました。 そこで一芝居うってドラえもんが故障したということにして未来へ帰ることになります。

のび太は「ドラえもんが帰ったら困るけど我慢する」と言い、感激したドラえもんは故障は嘘であることを白状します。 のび太は一旦は怒りますが、二人の「自分の力で成し遂げられる強い人になって欲しい」という想いに納得して、泣きながら二人を見送ります。

のび太は自分で自転車の練習をし、ドラえもんとセワシはタイムテレビでその姿を応援して物語は終わります。 一話でいきなり終わるので唐突な印象はありますが、こっちの方がすっきりした内容ですね。

同人ver

他にも出所がよく分からない、有志が制作したいわゆる同人verがいくつか存在します。 有名なのは「大人になったのび太がドラえもんを作った」ものや「植物人間になったのび太の夢だった」ものなどです。

ドラえもんは未完のため最終回は存在しませんが、それ故に同人verが最終回だという話が広がりました。 同人verは他人が描いたとは思えないほど出来のよりものもあり、それなりに信じられることになったのです。

個人的にも藤子・F・不二雄氏本人が描いた便宜上の最終回よりも、いくつかの同人verの方が出来が良いと思ってしまうぐらいです。 興味があれば探してみてください。

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