「バター」と「マーガリン」の違い
バターとマーガリンはどちらもパンに塗る調味料として定番です。 どちらも似たような味で、調理時に互いを代用品として使うこともあります。
しかしバターのことは知っていてもマーガリンのことを知らない人は意外に多いです。 バターは牛乳から作っているのは常識だと思いますが、マーガリンは何から作っているか分かりますか?
牛乳から作るのがバター、植物油から作るのがマーガリン
バターとマーガリンの最大の違いは主原料です。 主原料が牛乳なのがバター、植物油なのがマーガリンです。 マーガリンはその昔フランスでバターの需要に対して供給が追いつかなかったため、代用品として考案されたのが始まりです。
バターの作り方は簡単です。 まず搾りたての牛乳(※市販の加工乳は成分が壊されているのでできません)を用意します。 牛の搾りたての乳を容器に入れて頑張って30分ほど振ると、水とバターに分離します。 バターを取り出し塩を混ぜ、冷蔵庫で寝かせると完成です。
対してマーガリンは植物油、水、粉乳、塩を混ぜたものです。 ただし本来は液体である油を化学的に固形化させたものなので、手作りは難しいです。 クックパッドなどに手作りマーガリンのレシピがありますが、バターと植物油を混ぜて作ったマーガリン風のものであり一般的なマーガリンとは別物です。
マーガリンは健康に悪い?
マーガリンは健康に悪いという話はよく見かけます。 「絶対に腐らない」「プラスチックとほぼ同じ」「ゴキブリすら食べない」など、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 これらの多くは都市伝説に過ぎないレベルなのですが、マーガリンが健康に悪いのは否定できません。 まあ一つ一つ見てみましょうか。
絶対に腐らない?
マーガリンは主原料が植物油です。 油は腐らないので、油が主原料であるマーガリンは簡単に腐りません。
ただし油と同様に酸化や劣化などで傷みますし、油脂含有量が少ないものは腐る恐れもあります。 冷蔵庫に長い間置いていたマーガリンの色が変わったり変な味がすることがありますよね。 ああならないうちに食べましょう。
プラスチックとほぼ同じ?
マーガリンの分子を顕微鏡で見た時、まるでマーガリンはプラスチックのようだったという話があります。 しかしこの文脈は名詞のプラスチックではなく、形容詞のプラスチック(可塑性の)として使われたもので、要はマーガリンは可塑性だったという話です。
マーガリンの分子とプラスチックの分子は全くの別物です。
ゴキブリすら食べない?
公園にマーガリンを持っていってアリの巣の近くにでも落としてみてください。 すぐにアリが群らがってきます。
マーガリンは健康に悪い?
上述の都市伝説レベルのマーガリン害悪説は切り捨てて問題ないのですが、体に悪い成分が入っているのは確かです。 悪玉コレステロールの増加や心疾患を引き起こす「トランス脂肪酸」という物質が含まれており、欧米を中心にこれを含む食品の規制に動き出す国が増えています。
トランス脂肪酸は乳製品、牛肉、油などの食品にも含まれていますが、マーガリンは他の食品と比べg当たりに含まれるトランス脂肪酸がかなり多いです。規制が必要かは議論の余地があるでしょうが、大量に食べると健康に悪影響が出ると言わざるを得ません。
日本で規制が盛んになっていない理由に平均的な日本人の食生活においてトランス脂肪酸の摂取量が少ないことが挙げられます。 WHOはトランス脂肪酸の摂取量を総カロリーの1%未満に抑えるよう推奨しており、平均的な日本人はその基準内に収まっています。 これは日本ではパンよりも米や麺の方が主食として主流なので、摂取する機会が少ないためと考えられます。
しかしパン食が多い人やマーガリンを日常的に使っている人は平均的な日本人の食生活以上のトランス脂肪酸を摂取している可能性が高いので、そういった人は少し食生活に気を付けた方がいいかもしれません。