物事の真偽を簡単に判別!「対偶は成立するか」
「対偶」って言葉はご存知でしょうか? 中学・高校の数学で学習する範囲ですが、まだ習っていなかったりとっくの昔に忘れてしまったりしているかもしれません。
対偶とは命題の仮定と結論の両方を否定したものです。 「AならBである」の対偶は「BではないならAではない」になります。
大抵の人は対偶を覚えているのは大学受験までで、以降あまり使うことはなくなります。 まあ学校で勉強したことなんて大抵がこんな感じですが。
しかしこの対偶、一見何の役にも立たないようでいて物事の真偽を測るのに便利なのです。 日常的に対偶で考えるクセを付けておけば物事を深く考えられるようになります。
命題は対偶が成立すれば真である
「りんごは赤い」という命題で考えてみましょう。 我々のイメージではりんごは赤いもので、一見してこの命題は正しいように思えます。 反射的に「うん、その通りだ」と考える人もいるでしょう。
この対偶は「赤くなければりんごではない」です。 こう言われると違和感が凄いですよね。青いりんご、黄色いりんごなどもあるので間違いだとすぐ分かります。
対偶が成立していなければ命題も成立していません。 命題が一見本当っぽい事を言ってるように見えて実は…という事は意外に多いものです。 また命題がどの程度信頼がおけるのかも対偶を考えることで分かりやすくなることもあります。
「日本人は黄色人種だ」という命題について考えてみましょう。 一見すると正しいことを言っているように見え、実際こう考えている人も少なくありません。
対偶は「黄色人種でなければ日本人ではない」です。 黄色人種以外が帰化して日本人になったりハーフとして生まれたりするケースがあるので、一見正しいように見えた命題の真偽は「偽」となります。 しかし偽ではありますが、このような日本人の割合はではそこまで多くありません。
なのでこの命題を真にするには「日本人の多くは黄色人種だ」と修正すれば良いでしょう。 それなら対偶が「黄色人種でなければ多くの日本人ではない≒黄色人種以外の日本人は少数だ」となり、命題が真になります。
何の疑問もなく頭に入ってくるような命題でも、対偶を考えることにより深く掘り下げることができるのです。
物事の対偶を考えてみよう
女は感情的で男は論理的
「女は感情的」の対偶は「感情的ではなければ女ではない」、「男は論理的だ」の対偶は「論理的でなければ男ではない」になります。 論理的な女性も感情的な男性も山ほどいるのでこの命題は「偽」です。
命題のような傾向があるとは言われているものの、全員が線を引いたように分かれる訳ではありません。 特に男性が「女は感情的だ」と口にした場合、論理的に考えられていない可能性が高いです。
一流の人間は努力家だ
「一流の人間は努力家だ」の対偶は「努力家でなければ一流ではない」になります。 しかしほとんど才能だけで一流となった人もいるので「偽」です。
まあ一口に努力と言っても、努力にも色々あるから簡単に断じることはできませんけどね。 しかし努力家と形容されるようなひたすら苦行を長時間続けるようなスタイルで必ず大成するかと言えばそんな訳ありません。 特に日本人は過程を重視して結果を軽視するプロセス至上主義に陥っていることも多いので気を付けましょう。
政治家は嘘つきだ
「政治家は嘘つきだ」の対偶は「正直者は政治家ではない」になります。 …偽…いや正…?うーん…
まとめ
こうして色々な命題を並べて対偶を考えてみると、0と1の真偽で考えられることは殆どないことに気付きます。 しかしだからこそ対偶を考えて命題がどの程度信用できるものなのかを見極めなければなりません。
真偽判定・情報の精度の確認・物事を掘り下げる時などに対偶を考えるのはとても効果的です。 フェイクニュースが蔓延る昨今、何かと使い道があるのではないでしょうか。