水族館が暗いのは魚や動物から人を見えにくくするため
水族館は全体的に薄暗く、まるで深海を散歩しているような雰囲気があります。 普段我々が目にする機会のない生き物が生活する様は何とも幻想的に映ります。
しかし水族館が薄暗いのは幻想的な雰囲気を出したいからではありません。 中の生物から人間を見えにくくするのが目的です。
水族館の水槽はマジックミラーのような役割をしている
水族館は照明が絞られ水槽の中が相対的に明るくなっており、そのおかげで中にいる生き物たちの行動が良く見えます。 それでは逆に中の生物から外はどのように映っていると思いますか?
水槽の素材であるガラスやアクリル板は光を良く跳ね返します。 こういった材質を挟んで一方が明るくもう一方が暗い状態だった場合、明るい側から出た光は材質に跳ね返されて明るい側の様子を鏡のように反射して映します。いわゆるマジックミラーの原理ですね。
大抵の水槽はマジックミラーほど光を反射する訳ではないので、完全に外が見えなくなる訳ではありません。 しかし目の悪い水生生物をごまかすには十分という訳です。
こうした配慮は生物が警戒したりショック状態を起したりしないためのものです。 多くの水中生物から見て人間は歓迎できるような代物ではなく、見えたら逃げ出しますからね。
なお特に警戒心の強い生物がいる水槽はマジックミラーを張ります。 穴の中などで生活している生物を外が見える水槽で飼っていたら、人が近づくと穴に潜って隠れてしまいますからね。
ちなみに水族館側を水槽内よりも明るくした場合、水槽内から外側はよく見えるようになり、逆に外側から水槽内は見えにくくなります。だから水族館を明るくすることはできないのです。その場合は水槽内を更に明るくしなければなりませんが、それはそれで眩しくて見えなくなります。
ちなみにマジックミラーには表裏の区別はなく、明暗によって見える側と見えない側に分かれます。 だから明るさを切り替えれば見える側と見えない側を逆転させることができるのです。
水族館は暗い。暗ければ瞳孔が開く。瞳孔が開けば…
人は瞳孔を開いたり絞ったりして目に入ってくる光の量を調節します。 明るい場所では瞳孔を絞って入ってくる光を減らし、暗い場所では瞳孔を開いて沢山の光を取り入れようとします。
この瞳孔の状態、実は光の採取量の調整以外でも変化します。 楽しい時や興奮した時などのポジティブな感情を抱いた時にも瞳孔が開くのです。
水族館は暗いので、沢山の光を取り入れるべく瞳孔が開きます。 瞳孔が開くということは、疑似的にポジティブな感情を抱いている状態になると言えるかもしれません。 水族館でなくとも暗い場所では何となく興奮して楽しい気分になりますよね。
だから暗い水族館はデート向きなんて言われています。 もちろん相手に興味があることが前提ですが、気がある人を誘ってみるのもいいかもしれません。
そしてデートの際に水槽の反射についてうんちくを語ってみましょう。