寒いと自転車は空気抵抗で遅くなる

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学校や会社へはギリギリの時間まで行きたくないものです。 そこで重要になるのが「この時間までに家を出ればギリギリ間に合う」リミットです。ここから逆算して目覚ましをセットしたりしますよね。

しかし自転車を使っている人は通年同じ時刻に出発するのはお勧めできません。夏はバテて遅くなるし、冬は空気抵抗で遅くなるからです。

ギリギリの自転車通学は気温によって遅刻する可能性がある

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私は学生時代は自転車で通学しており、ギリギリまで家で寝ていられるように道中はかっ飛ばしていました。周りにも似たような事を考える奴は多く、ご近所から「あそこの学生は自転車が速すぎて怖い」とクレームが入っていたほどです。申し訳ございませんでした。

しかし大体は問題なく学校へたどり着けたものの、冬には間に合わないことがしばしばありました。雪や凍結の影響も基本的にない地域なので、冬に遅くなるのは不思議でした。

学生時代は「寒いから体が上手く動かないのかな」ぐらいに考えていました。 家を出る前に準備運動なんてしないので寒いと筋肉がフル回転するまでに時間がかかり、走破タイムに悪影響を及ぼしている可能性はもちろんあります。

しかしこれ、どうやら空気抵抗の問題が大きいようです。

空気抵抗は寒いほど大きくなる

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空気は当たり前にある存在なので重さを感じることはありませんが、実は空気にも質量があります。 これを空気密度と言います。

空気密度は気圧と気温により決まり、公式は大体以下の通りです。

空気密度の計算式

1m^3辺りの空気密度(kg)=気圧/{2.87(気温+273.15)}

2017年の東京の6~8月の平均を夏、12~2月の平均を冬として空気密度を計算してみます。

季節平均気圧(hpa)平均気温(℃)空気密度(kg/m^3)
1005.625.21.1744
1012.36.41.2617

このデータによると夏には1.17kgだった空気密度が冬には1.26kgになっています。 大よそ7%ちょっとの差になりますね。

ちょっとした差ではありますが目的地までの距離があるほど押しのける空気の量が増えるので、積もり積もって結構な差になります。

そして空気抵抗は空気密度によって変わり、公式は以下の通りです。 色々訳の分からない言葉が書いていますが、空気抵抗の計算は難しいのです。

空気抵抗の計算式

空気抵抗=1/2*空気密度*速度^2*前面投影面積*抗力係数

色々難しいので本稿の趣旨を端的に言うと、「空気抵抗は空気密度や速度の二乗に比例する」ということです。 夏よりも冬の方が、走るよりも自転車の方が空気抵抗が大きくなるのです。

特に速度はその二乗に対して空気抵抗が増えていくので、速度が倍になれば空気抵抗は4倍になります。 速いものほど空気抵抗をモロに受けるようになっているのです。

冬は陸上長距離は速くなり、ロードバイクは遅くなる

陸上長距離走においては冬の方が速く走れます。 理由は暑いと放熱がうまくできずに汗が出て激しくスタミナを消費するためです。 空気抵抗は暑い方が少ないですが、このスタミナ消費を覆すだけの影響はありません。

対してロードバイクは冬に遅くなります。 これは空気抵抗が増すことが要因で、走る程度ではあまり変わらない空気抵抗がロードの速さになると無視できない抵抗となるからです。

自転車が空気抵抗によって受ける影響は速度によりけりで、優雅に景色を楽しみながらのサイクリングであれば大した違いにはなりません。 しかし遅刻ギリギリのラインを全力疾走するような学生は空気の壁の洗礼を受けることになるでしょう。

そんな事情で「冬場は空気抵抗で自転車が遅くなる」という話でした。 寒いと家から出るのが嫌になりますが、仕方なく5分早く出ましょう。

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