死者を鳥に食べさせて葬送する「鳥葬」とその合理性

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人は死んだら様々な方法で葬られます。 日本で馴染みが深いのは火葬ですが、他にも土に埋める「土葬」や水に流す「水葬」ぐらいは聞いたことがあるでしょう。

本日紹介するのは少し変わり種である、遺体を鳥に食べさせて葬る「鳥葬」です。 鳥葬は一見すると死体に対する冒とくのようにも映りますが、しかし現地の死生観においてはそうではありません。 それに鳥葬が行われる理由って実は合理的なんですよ。

鳥葬とは

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インド、ブータン、チベット、ネパール、モンゴルなどの一部地域では「鳥葬(天葬)」という風習があります。 これは一部地域の仏教およびゾロアスター教の葬儀にて行われる葬送方法です。

葬送は遺体を何によって送るかが頭文字になっています。 火葬は火で焼き、土葬は土に埋め、水葬は水(川や海)に流しますよね。

それでは鳥葬は遺体を鳥でどうするのかと言えば、鳥に食べてもらうのです。 その際には鳥が食べやすいように遺体を細かく裁断して骨は砕くなどするのですが、この姿は傍から見るとまるで遺体を弄んでいるかのようにも映ります。

そのせいか鳥葬が紹介される際には「残酷な儀式」として紹介されることも多いです。 詳しく知らない人の中には鳥葬を犯罪者の処刑方法だと勘違いする人もいるぐらいです。 しかし鳥葬は現地の価値観からすると残酷なことではなく、むしろ専用の葬儀人を雇わなければできないどちらかと言えば贅沢な葬送法なのです。

我々の価値観と実際に鳥葬を行っている人との認識の差は、価値観(宗教観)の違いによるところが大きいです。宗派や地域によって多少の違いはあれど、鳥葬は正しい措置と認識されています。

我々の文化だって別の文化から見るとおかしなものに映ることもいくらでもあります。 例えばキリスト教・ユダヤ教・イスラム教・儒教では程度の差こそあれ火葬を遺体に対する冒涜と考えます。 これは我々が鳥葬に対して抱く認識に近いものがありますよね。「火で焼くのはいいけど鳥に食べさせるのは残酷」と考えてしまうのは、我々の文化における価値観に過ぎないのです。

実は合理的な鳥葬

Tibet

鳥葬を行う地域の環境から鑑みて鳥葬による葬送は合理的な面が多いです。 度々政府や他国などから鳥葬が問題視されることもあるのですが、それでも根強く残っているのはその合理性ゆえでしょう。

鳥葬を行う地域は高地で木があまり生えておらず、薪が高価で火葬においそれと使うことはできません。 そして高地で寒冷であるため、微生物の働きがあまり活発ではなく土葬しても微生物による分解が進まないんですね。 死体が天然のミイラみたいになってしまって、なかなか土に還れないのです。

それらと比べると鳥葬はとても合理的で、肉はもちろん骨も砕いて鳥に食べさせるため後には何も残りません。 そうして死体は次世代の血となり肉となり骨となるのです。

鳥葬には「様々な生命を食べて生きてきた人間を他の生き物に還す」という考えもあります。 鳥葬は土壌の栄養が少ない厳しい環境ならではの生活の知恵とも言えるのかもしれません。

日本では骨壺の中に骨を入れてお墓に入れますが、改めてこれが必要なのかと言われると考えてしまいます。 信心深い人には怒られるかもしれませんが、別に骨に魂が宿る訳でもないし土に還す方が自然に思えるんですよね。 最近はお墓を不要と考える人が増えているようですが、私もその一人だったりします。

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