アカテガニ|手がとても赤いカニ

Chiromantes haematocheir
名称(学名)アカテガニ (Chiromantes haematocheir)
身体体長:3cm
生息地東アジア
食性草食寄りの雑食

アカテガニの特徴

Chiromantes haematocheir

アカテガニはその名の通り真っ赤な手が特徴の小さなカニです。 甲羅は灰色で目の近くの淵は黄色をしていますが、繁殖期のメスは体も真っ赤になります。

お腹の模様から性別を判別することが可能で、オスが逆三角形なのに対してメスは台形をしています。 またオスはメスに比べて大きいハサミを持っています。

カニはエラ呼吸ですが、甲羅の水分に空気中の酸素を溶かしてエラ呼吸することで地上での活動が可能になっています。 特にアカテガニはカニにしては乾燥に強く、湿った環境なら数日は水に入らなくても大丈夫です。 特に湿った日には水場から離れた場所まで来ることもあります。

結構急な勾配も登ることができ、木登りも得意です。 小さな陸棲のカニの中には時々木登りする奴がいますが、本種もその一つです。

アカテガニは変わった産卵行動をとることで有名です。 メスは産卵してお腹に卵を1月ほど抱えると、新月または満月の満潮の夜に海岸へと集まってきます。 そして足が付く程度の浅い場所で、上下に小刻みに動いてゾエア(カニの幼生)を海へと放出するのです。 幼生たちは海中生活で脱皮を繰り返しながら大きくなり、子ガニ程度の大きさになると陸へと帰ってきます。

このアカテガニ、童話「猿蟹合戦」のモデルになったカニだそうです。 童話では木に成ったカキを取れないでいましたが、普通に取りに行けるような気も…

アカテガニの生態

Chiromantes haematocheir

生息地

東アジアの河口域近くの海辺などに生息し、産卵場所である海から遠く離れることはありません。 単独で生活し、森林、湿地、川辺などの湿度が高い場所を中心に活動することが多いです。

柔らかく湿った場所に数十センチの深さの巣穴を掘り、そこを中心に活動します。 冬になると巣穴に入って冬眠し、4月頃から活動を再開します。

普段の生活

夜行性で日中は掘った巣穴や木陰で休息し、夜になると採食活動を行います。

草食寄りの雑食で、主に落ち葉などを食べる他、小さな魚、昆虫、小動物なども食べます。

繁殖と成長

卵生で夏に繁殖期を迎え、交尾するとお腹に卵を抱えてしばらく過ごします。 そして満潮の夜になるとメスたちは海岸に集まり、浅い場所で卵を海へと放流します。 こうして1年に2~3回の産卵を行います。

孵化したゾエアはプランクトンを捕食しながら脱皮を繰り返して成長し、1か月ほどでメガロパに変態します。 更に1か月ほどで子ガニに変態すると活動の場所を海から陸へと変えていきます。

2年で成熟し、寿命は5~10年ほどです。

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