キリン|長い首と脚を持つ、最も背の高い動物
キリンは長い首が特徴的な最も背の高い動物です。 他の動物では届かない高所の草をモシャモシャと食べることができます。
他の動物が持ちえない長い首に関連して、キリンには色々な特徴があります。
最も背が高い動物
キリンは黄色い体に茶色の斑点模様と長い首が特徴的な動物です。 最も背が高い動物で体高は3.8~4.7mにもなります。
他の動物では届かない高所の葉を食べられ、生まれたての子キリンですら2mの高所に届きます。 首が長すぎて地面まで頭を降ろすのが難しいため水分は主に植物から摂取し、水を飲む時は前足を拡げて体をなるべく低くして首を下げます。
視界が300°近くあり、高所にある目もあいまって危険を察知する能力がとても高いです。 キリンを見て危険を判断する動物がいるほどで、キリンが逃げるとみんな逃げます。
最も首の長い動物
キリンの体高の約半分を占めるのが2mもの長い首です。 これは高所のエサを食べるために進化したと考えられています。
この長い首の中には頸椎がありますが、その数は他の哺乳類と同じで7つしかありません。 ただしひとつひとつが人間の頭よりも大きいです。
長い首の先にある脳にまで血を届かせるため、人間の倍以上の血圧があります。 低血圧だと血が頭まで届かずに貧血で倒れてしまいますからね。
意外に強い動物
体の大きさはそのまま強さに繋がるため、大きな体を持つキリンは強力な動物です。 ライオンでもよほど飢えていない限りは積極的に手を出しません。
しかしライオンなどの捕食者に襲われると基本的に逃げます。 キリンは前足2本と後ろ足2本を交互に出す珍しい走法で、時速50kmものスピードで長時間走ることができます。
一旦離されると肉食獣は追いつけませんが、キリンはトップスピードになるまで時間がかかるため追いつかれることもあります。 そんな時は強力なキックで反撃するのですが、これはライオンを蹴り殺すこともあるぐらい強力です。
またキリンはオス同士で争うこともあり、そんな時は首をぶつけ合ったり回し蹴りを食らわせたりします。 首で戦うのは他の動物には真似できないキリンならではの戦い方と言えます。
オスとメスの見分けかた
オスは頭がごつくなり、特に額のあたりがデコボコになります。 これは戦うことの多いオスが脳を守るための性差と考えられます。
またオスの方が体高が高くなります。 オスとメスは食べるエサの高さが違うのでエサで争うことがなく、互いに良い関係を築けるのです。
オカピが祖先
キリンは森林で暮らしている「オカピ」が祖先と言われていますが、オカピは首が長くありません。 オカピが草原に出てきて高所の葉を食べられるように進化したのがキリンと言われています。
キリンとオカピは皮膚に覆われた角を共通して持ちますが、オカピのツノは2本なのに対してキリンのツノは5本です。 オカピなら防衛に使うこともありそうですが、キリンのツノは特に使い道がありません。
名前の由来は麒麟
キリンという名前は中国の想像上の生物「麒麟」から名付けられました。 麒麟は高さ5mで龍のような顔をして、牛の尾と馬の蹄を持ち、毛は黄色く鱗を持つそうです。
麒麟の言い伝えられている特徴はキリンと似ている箇所も多いので、案外実物の伝聞が伝説になったのかもしれません。
睡眠時間が短い
キリンは睡眠時間がとても短く1日に数十分しか寝ていないと考えられています。 これはキリンの巨体を維持するために大量の草を食べなければならないためです。
立ちながら断続的に寝ていて、野生で眠る姿はほとんど確認できません。 動物園のキリンは安全だからか座って寝ることもありますが、それでも10分ほどしか眠る姿勢を取りません。
キリンの生態
生息地
キリンはアフリカのサバンナに10頭以下の群れで生息しています。 葉に含まれる水分だけでもなんとか生きていけるので、他の動物のように乾季と雨季でサバンナを移動しないのが特徴です。
普段の生活
長い首と舌を使って高所の葉を食べて生活します。 顔を地面に付けることもでき、水を飲むときは前足を広げて体高を下げて地面に顔を届かせます。
寝る時は立ったまま眠り、1日に計1時間半ぐらい寝ています。 ただ飼育下の安全な場所であれば座って寝ることもあるようです。
繁殖と成長
キリンは発情期がなく、2週間に1度ほどの周期で発情します。 妊娠期間は15か月ほどで、1回1頭の子を産みます。
子は1年ほど授乳して育ち、4~5年で成熟します。寿命は20年ほどです。