継ぎ足し続けて出来たタレは繁盛店の印
焼き鳥屋やウナギ屋などに行くと、たまに「〇年継ぎ足したタレ」を使う店があります。 誰もが「ええ、そんなに長年使って腐らないのかよ!」とか「カビ生えないのかよ!」とか「ゴキブリ入ってるだろ!」とか思うことでしょう。
しかしもし食べて問題がある代物ならばとっくにお客さんはお腹を壊し、行政指導が入ってお店は営業停止になっているはずです。 そうなっていないのは殺菌消毒とメンテナンスの賜物なのです。商売繁盛の証とも言えるかもしれません。
秘伝のタレは何で出来ている?
秘伝のタレは秘伝なので製法は知りませんが、おおよその材料は一般的なものでしょう。 つまりは醤油、酒、みりん、砂糖を中心としたものです。 これらは簡単に駄目になるような代物ではありません。
タレは時間が経つごとに熟成されてまろやかになります。 またタレを付ける際に入る鳥やウナギなども良い出汁となって味に深みが出ます。 そうして出来るのが「〇年継ぎ足して出来た秘伝のタレ」という訳です。
またお店はタレの手入れも欠かしません。 継ぎ足して使うので減った分だけ足さなければなりませんが、その際に味を馴染ませるため加熱をします。 加熱すれば殺菌消毒されるので、そう簡単には腐ったりカビが生えたりしません。
更に中身は継ぎ足しとは言え入れ替わり続けます。 タレを10リットルのツボに入れる場合、1食に100mlとしても100食分しかありません。 ひと月もあれば余裕で使い切ってしまう量ですよね。 同じツボの中身でも、タレの大部分はすぐに入れ替わっているのです。
また中身やツボのメンテナンスも欠かしません。 ある程度使ったら食べかすなどが貯まってくるので中身を濾し、その際には綺麗なツボに入れ替えます。
そんな事情で継ぎ足して何年経ったタレでも平気なのです。 実際にそこまで味に影響があるのかはよく分かりませんが…気分的においしくなっている気がしますよね!
秘伝のタレが長続きするのは繁盛店の証
そんな秘伝のタレですが、長年中身を維持できるのは繁盛店の証です。 もしお客さんが疎らにしか来なくなると、タレの加熱タイミングや入れ替えのスパンが長くなっていきます。
当然衛生的に問題となる可能性が高くなってくる訳で、お客さんの中に食中毒を起こす人が出てくるかもしれません。 もしそうなれば営業停止処分となり、秘伝のタレの伝統も終わります。
だから今なお長年受け継がれたタレを使っているのは、お店が繁盛している証なのです。 先代先々代から伝統のバトンを受け継ぎ、思いを背負ってお店に立っているのです。めでたしめでたし。
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さて、そろそろ「継ぎ足しのタレにゴキブリ入ってる問題」について言及しましょうか。
結論から言うとまあ入っているでしょう。 飲食店で働いたことがある人なら分かると思いますが、食べ物を扱う店で虫をシャットアウトすることは不可能です。 タレの甘い匂いは虫を呼びますし、ハエやゴキブリが入ってくるのは仕方ないと思います。
あるテレビ番組で継ぎ足し続けた秘伝のタレの中身を検証する企画があったのですが、中から沢山のゴキブリが出てきました。 これが番組的演出なのかマジ話なのかは不明ですが、飲食店経験者なら「まあ入ってるよね」ぐらいの感想ですよね。
虫は壁を伝ってきたり空を飛んできたりするので、タレを密封しない限りは入り込んでくる可能性があります。 しかし秘伝のタレを密封容器で運用しているお店なんて見ないですよね。つまり、まあ、その、ねえ…。
フォローになっていないかもしれませんが、虫が入るのを嫌がってたら外食なんてできません。 「飲食店で働いたら外食できなくなった」なんて人もいますが、ある程度は防げてもどうしようもないことなのです。
ただ秘伝のタレ屋を使う店やおでん屋などは入ってしまう可能性も高いので、どうしても気になる人は控えた方がいいかもしれませんね。