オランダに風車が多いのは国土を干拓した名残
オランダと言えば巨大な風車が沢山あることで有名です。 巨大な風車の羽がグルグル回っている姿がとても印象的ですね。
それではなぜオランダにやたらと風車が沢山あるのかご存知でしょうか。 これはオランダを干拓した時代の名残で、風車はとても重要な役割を担っていたのです。
海抜ゼロのオランダ
オランダは英語でNetherlands(ネーデルランド)と言い、日本の九州ぐらいの広さを持ちます。 最盛期はそこに1万基もの風車がありました。
ネーデルランドは「低い土地」という意味です。 文字通りオランダの海抜は大変低く、国土の1/4は海抜がマイナスで海面より下にあります。
この海抜の低さは干拓事業の結果です。 そしてそれこそが大量の風車を備え付けた理由でもあるのです。
世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った
11世紀頃のオランダは今の半分程度しか国土がありませんでした。 なぜ今は国土が倍になったのかといえば、オランダ人が数百年かけて干拓したからです。
オランダでは11世紀頃から干拓事業を始めました。 湖・海・湿地などの周囲を堤防で囲んで水門を作り、中の水を排水して干拓地「ポルダー」作り、それを拡げていきました。
しかし水を抜き取った影響で地盤は沈み、周囲の水面より低くなって水が日常的に流れ込んできます。 排水して作った干拓地は水が溜まりやすいので、排水し続けなければなりません。 干拓するのに排水、干拓地を保つのにまた排水と大変な作業です。
そんな中で1612年にベームスター干拓事業で登場したのが風車です。 風車は風の力を利用して勝手に動き、常に水を排水し続けてくれます。
風車のオランダの干拓事業を加速させ、国土は拡がっていきました。 しょっちゅう洪水に見舞われて順風満帆とはいきませんが、やがて11世紀の倍の広さにまで国土を広げたのです。
今もオランダは排水をし続けなければ国土が水びたしになりますが、排水の仕組みも近代化したため風車の数は減少しています。 今日において風車の役割は製粉と観光となっています。
そんな事情があってオランダには沢山風車があるのです。今あるのはその名残ですけどね。 「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」は重みのある名言ですね。 何かしら置き換えて使うと格好いいかもしれません。
オランダとネーデルランドの違い
オランダは英語でネーデルランドだと言いました。 英語というよりは世界的にネーデルランドであり、日本が国名をオランダとしているのは勘違いが元の疑いが強いです。
オランダは12の州からなる国です。 このうち北ホラント州と南ホラント州を合わせて「Holland」と言います。 発音は大体「オランダ」です。
まとめると以下の通りです。
- 日本語で言うところの国名「オランダ」は正しくは「ネーデルランド」
- 「オランダ」は現地ではオランダを構成する北ホラント州と南ホラント州を合わせた一部地域の呼称
普通に考えると、明治頃に何かしら勘違いした日本がオランダと名付けたと思われます。 イギリス相手にも似たようなことやらかしてますしね。
個人的にはイギリスもオランダもさっさと呼称を正しいものに変えるべきだと思うのですが、なぜ変えないんでしょうね。