鳥はトウガラシを辛く感じない

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食べると辛いトウガラシ、哺乳類で食べるのは人間だけです。 しかし人間だって無害だと分かっていなければ、食べた瞬間に毒だと判断して吐き出すでしょう。

それを平然と食べるのが鳥です。 なぜ鳥はあんな辛いものを平然と食べているのでしょうか。

実はこれ、トウガラシは鳥にだけ食べられるように進化したからなんです。 哺乳類にとっては凄く辛いんですが、鳥は全く辛さを感じないんですよ。

トウガラシの進化

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トウガラシは実の中にある種から育ちます。 しかし哺乳類に実を食べられてしまうと種が消化されて芽が出ないので食べられたくありません。 その一方で鳥類は歯がなく消化能力も低いため、食べられても種は未消化のままでうんちとして出てきてそこから発芽できます。 更に鳥類はその種を遠くまで運んでくれるので、繁栄のためにはむしろ食べられた方が有利です。

トウガラシが繁栄するには、哺乳類には食べられずに鳥類には食べられる仕組みが必要だったのです。 そして長い時間をかけて、哺乳類にのみ毒だと認識されるように進化しました。

生物は様々な刺激を情報として受け取る「受容体」という器官を持っています。 哺乳類はカプサイシンを辛いと感じる「カプサイシン受容体」を持つ一方で、鳥類にはカプサイシン受容体がありません。 だから鳥類は辛いものが平気なのではなく、カプサイシンによる辛さをそもそも感じていない訳ですね。

トウガラシはうまいこと進化した結果、その実にカプサイシンを獲得しました。 そうしてトウガラシは哺乳類は辛くて食べられないけど、鳥類にはおいしく食べられる存在となったのです。 まあ人間には食べられてしまいますが、もの凄く特殊な動物だから例外でいいでしょう。

トウガラシの利用

トウガラシは様々な用途に利用されています。 まず哺乳類が嫌う性質を利用して、農作物を狙う害獣への対策として利用されています。 農作物の周りにトウガラシ植えて害獣をけん制したり、水で薄めた溶剤を忌諱材にしたりすることで、害獣に対して効果を発揮しているようです。

他にも防犯スプレーなどにも使われています。 トウガラシスプレーは一時的に盲目になったりせきや鼻水が止まらなくなったりと酷いことになりますが、一応後遺症が残らない無害な兵器とされています。しかし浴びた時のことを想像するだけでぞっとしますよね。

またトウガラシの発汗作用を利用しての入浴剤や、発熱作用を利用してのクリームやシップなどにも利用されています。 トウガラシは幅広く活躍しているのです。

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