ゾウの表面積を求める公式がある

mathematical formula

立体の表面の面積を「表面積」と言います。 小学校辺りで習う概念で、皆さんにも何かしらの表面積を計算した経験はあると思います。

立体によって色々な表面積を求める公式があり、立方体の表面積は6a²、直方体の表面積は2(ab+bc+ac)、球の表面積は4πr²で求められ、他にも色々な図形の表面積を求める公式があります。

中には変わり種もあり、なんとゾウの表面積を求める公式だってあるのです。

ゾウの表面積を求める公式

elephants

ゾウの表面積を求める公式は以下の通りです。

ゾウの表面積の求め方

8.245 + ( 6.807 × 身長 ) + ( 7.073 × 前足の太さ )

…なんでこんな式になるんでしょうか?特に最初の8.245は一体何なのか…鼻? さっぱり分かりませんが、とにかくこれが公式だそうです。 なぜこんな公式があるのかと言えば、薬の量を決める際に必要だからです。

薬の中には表面積で投与量を決めるものがあります。 これは循環血液量や基礎代謝などの生理機能は表面積と相関関係があるからです。 抗がん剤などが代表的で、ゾウに限らずイヌ・ネコ・ヒトなども表面積で薬の量を決めます。

なので人より太っている/痩せているからと言って体重比で投与量を変えるのは間違いなのは覚えておきましょう。 薬の量を変える場合、まずその薬の適正量が何(年齢・身長・体重・表面積etc)によって決まっているかを知る必要があります。 素人判断で薬の量を変えずにお医者さんの指示を守りましょう。

ちなみに180cm-70kgと180cm-100kgの体重比は1.4倍ほどありますが表面積比は1.2倍ほどしかありません。 前者と比べて後者に投与すべき薬の量も、体重比で変わる場合は1.4倍なのに対して表面積比で変わる場合は1.2倍になります。

ゾウの表面積を求めた経緯

elephants

イヌやネコは基本的に体重から表面積を簡易的に判断します。 なぜゾウに限って表面積の公式があるのかと言えば、ゾウの身体測定が難しいからですね。

ゾウの表面積の公式を発見したのはインド人獣医学者のスリークマル博士です。 ゾウへの薬の投与量を求めるには表面積が欠かせませんが、如何せんゾウはデカいし暴れるしで体重や表面積の測定は容易なことではありませんでした。

そこでゾウの表面積を簡単に算出できる公式を求めたスリークマル博士は何頭ものゾウを実測し、またCG技術を駆使して研究しました。 そして象の表面積が前足の太さと身長に比例して大きくなる事を突き止め公式化に成功したのです。

この公式がゾウの医療に革命をもたらし、ゾウの生存率は飛躍的に上がりました。 そしてこの功績は世界的に認めれられ、2002年にイグノーベル賞を受賞するに至ったのです。 …イグノーベル賞はバカバカしい研究に贈られるイメージがありますが、それなりに権威ある賞なんですよ?

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