津波が起きるメカニズムと、津波が起きた場合の対処
津波は英語で「TSUNAMI」と言い、日本語の津波に由来しています。 ハワイが津波に襲われた時に日系人が「津波」と言ったのがそのまま広まったのが経緯です。
地震大国である日本は津波の発生することが多い津波大国でもあります。 これは日本の東側である太平洋にほとんど陸地がなく、アメリカ大陸西海岸で起きた津波がほとんど減衰せずに日本まで来るのがおおきいですね。 地震も津波も迷惑なものですが、来るものはどうしようもないので対処を覚えておきましょう。
津波の起きるメカニズム
津波は海底のプレートによって引き起こされる地震が原因です。 地震が起きてプレートが跳ね上がると、その上にある海水が跳ね上がって陸地に津波として押し寄せます。
跳ね上がった海水はそのまま移動し、陸地に近づいて水深が浅くなるにつれて波は高く、速度は遅くなっていきます。 そして後ろの波が前の波に追いつき、波の長さ数十~数百kmの津波となるのです。
震源地が陸地であれば津波は発生しません。 また震源地が海底での地震であっても、地震が小さい又は震源が深い場合は大きな津波にはならない傾向があります。 逆に大きな津波になりやすいのは震源地が浅い海で大きな地震が起きた時です。
ただし大した地震でなくても高い津波が発生することもあります。 断層がゆっくりと動いた場合、ずれが大きくても大きな揺れは起きず、小さな地震が長時間起こります。 しかし海底の地形は大きく変わるのでそれだけ海面が持ち上がり、大津波となって押し寄せてきます。 大した地震ではなかったからと言って油断は禁物です。
津波がどれぐらいの時間で来るかは地震次第です。 1993年の北海道西南沖地震は震源地がすぐ側だったため5分で津波が到達し、多くの死者を出しました。 東日本大震災では震源地は近くにありましたが最初の津波は小さく、多くの犠牲を出した大津波が来るまで30分の猶予がありました。 1960年のチリ地震による津波はハワイまで到達するのに15時間かかりました。
肝心なのは地震が起きる・津波警報が発令されるなどの津波の予兆を感じ取ったら即座に海から離れて高台へと逃げることです。 5分で津波が到達するケースだと誰かに相談している間に津波に飲み込まれてしまいます。
また津波は東日本大震災のように時間差で来ることも考えられます。 津波の危険が去ったことを確認するまでは気を抜かないでください。
低い津波でも油断できない
30cmの津波と聞くとどんな印象を受けるでしょうか?小さな子供ならともかく、大人にとって30cmなんてひざよりもずっと低いです。 それぐらいの津波ならなら避難しなくても大丈夫と思うかもしれませんが、とんでもない思い違いです。
津波が陸地近くまで押し寄せる頃には時速20~30km程度になり、これは川で考えるとかなりの急流です。 水深が低くても足を取られて転ぶ可能性がありますし、少なくともまともに動けません。
それに津波は色々な物を巻き込んで流れてくるので単純に危ないです。 30cmの津波でも車を動かす力がありますし、大量の木材が流されて当たれば大怪我をします。
1mの津波に巻き込まれるとほぼ死ぬと言われています。 たとえ低い津波でも避難指示が出たら即座に安全な高台へと避難し、解除されるまで安全な場所にいましょう。
津波と高波の違い
津波と高波は混同されますが別のものです。 その差異は波長で、高波はせいぜい数メートルしかないのに対して津波は数十~数百kmもの波長を持ちます。
だから高波はせいぜい海岸から数十メートルぐらいしか来ませんが、津波はその比ではありません。 2011年の東日本大震災においては、津波は10km以上内陸まで到達しました。
津波から逃げる時の心得
津波は地震が起きてから時間差でやってきます。 どれぐらい時間がかかるかは地震が起きた位置や海底の地形次第ですが、逃げる猶予があるケースが多いです。
地震や津波警報など津波の予兆を感じたら、高台のある方向へ急いで逃げましょう。 津波は早ければ数分で到達する可能性もあるので、どれだけ早く動き出せるかがカギです。
逃げる際には以下を意識しましょう。
- 高台を目指す
- なるべく海から離れる
- なるべく川から離れる
近くに津波避難施設や津波よりも高い建物などの避難できそうな場所があるなら、取り急ぎなるべく高い場所に避難しましょう。 海沿いの都市部でしたら「津波避難ビル」が設置されていることもあります。お住まいの地域の津波ハザードマップを確認しておくと良いでしょう。
近くに十分に高い建物がない場合は山の上などとにかく高い場所に登るしかありません。 その時に海から離れるのはもちろんですが、川から離れることも重要です。
「河川津波」と言って津波は川を遡上してきて、障害物がないため陸上よりも速く奥まで届きます。 要は川の側も危険なので、海からも川からも離れるような経路で逃げましょう。
安全な場所に避難しても津波が来たら終わりという訳ではありません。 第二波以降が続けてくる場合もあり、第一波よりも高い津波が来る可能性もあります。 避難警報が解除されるまでは安全な場所から動かないようにしましょう。
船で沖に逃げる場合の注意
津波は水深が浅くなるほどに波が高くなっていきますが、逆に言えば十分な水深がある沖合なら大した高さはありません。 水深50mの地点なら大よそ安全とされており、東日本大震災の際にも沖に避難して無事に済んだ船があります。
ただし遠浅の海岸では沖に行くべきではないかもしれません。 単純に水深50m地点に辿り着くのに時間がかかりますし、また津波の前には異常な引き潮が起こる可能性があります。 引き潮に巻き込まれると水深が足りずに行動不能になって、そこに来た津波にやられる場合もあるようです。
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津波が起きた際、どこをどのように逃げるかを調べる猶予がある保証はありません。 沿岸近くにお住まいの場合は日ごろから津波が来る可能性を意識し、あらかじめ避難経路や避難場所を確認しておきましょう。