トノサマバッタ|日本最大級のバッタ
名称(学名) | トノサマバッタ (Locusta migratoria) |
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身体 | 体長:3.5~6.5cm メスの方が大きい |
生息地 | ユーラシア大陸・アフリカ大陸・オーストラリア大陸の草原や平原 |
食性 | 草食寄りの雑食でイネの葉などを食べる |
トノサマバッタの特徴
トノサマバッタは日本では最大級のバッタです。 オスは日本最大ですが、メスはショウリョウバッタの方がやや大きいです。
立派な羽を持つことから「殿様」バッタと付けられたとか何とか。 ちなみに世界に目を向けるとそれほど大きい訳ではありません。
体色が緑色と褐色の2種類のものがいます。 生育した環境に草が多ければ緑色に、土が多ければ褐色になるようです。 つまり保護色ですね。
夏~秋によく見かけるイメージですが、幼虫は春には地上に顔を出しています。 成長して夏頃に成虫となって活発に動き回って繁殖活動を行い、秋頃に土中に産卵して、卵の状態で越冬します。 なお成虫は冬を越せないため、寒くなると死んでしまいます。
個体の密度が高い場所で育つと群生相の個体を産む
トノサマバッタは個体の密度が高い場所で育った場合、性質の違う子を産むようになります。 普段見かける単独で生活しているトノサマバッタを「孤独相」と呼ぶのに対し、性質の変わったトノサマバッタを「群生相」と呼びます。
群生相のトノサマバッタは孤独相のものと比べて暗色・長い翅・短い足・幅広い頭など特徴が変わります。 また集団で行動することを好み、獰猛な性格になり、普段食べないような物でも食べる悪食となります。
群生相のトノサマバッタは大群で食べ物を食いつくしながら移動し、飢饉などをもたらす災害(蝗害)となります。 現在では殺虫剤により未然に被害を防ぐなどの対策が取られますが、中東やアフリカなど駆除が行き届かない場所では時々大発生しているようです。 日本でも昭和初期頃まで蝗害が発生した記録があり、北海道で360億匹ものトノサマバッタを駆除した記録や鹿児島県の離島で3000万匹ものトノサマバッタが確認されたこともあります。
被害の甚大さからか、奈落の王アバドンや悪霊パズズなど蝗害をモチーフにした神もいるぐらいです。 ヨハネの黙示録ではアバドンがバッタを率いて人々に死すら生ぬるい苦しみを与えるとされており、それぐらいヤバい災害なのです。
トノサマバッタの生態
生息地
ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、日本など広い範囲に生息しています。 好物のイネがある草原近くで生活していることが多いです。
普段の生活
日中に活発に活動し、主にイネやススキなどの植物の葉を食べます。 基本的に草食ですが、昆虫などを食べることもあります。
繁殖と成長
トノサマバッタは初夏~秋にかけて2度の産卵をします。 最初の産卵のものは秋には成虫となり、2度目の産卵のものは卵のまま越冬します。
土の中に数十個の卵を産み、越冬組は春になると幼虫が顔を出します。 幼虫は1cmに満たず色も白いですが、バッタと認識できる形をしています。
草の葉を食べながら成長して、数度の脱皮後に成虫となります。 寿命は3~4か月程度です。