重さは南北極が最も重く、赤道上が最も軽くなる
地球に引力があるのはご存知だと思います。 引力によって質量を持つものは地球の中心方向に引っ張られ、それが重さとなります。
その重さ、実は地球上の全ての場所で一定という訳ではないんです。 理由は地球の中心からの距離が一定でないのと、遠心力が一定でないためです。
重さは南北極で最も重く、赤道上で最も軽くなるのです。
重力=引力-遠心力
質量を持つ物体はお互いに自分方向に引っ張ろうとする力が働きます。 これを「引力」と言います。
我々が球体の地球の上に立つことができるのは、地球の持つ引力に引っ張られているためです。 これを「重力(=万有引力)」と言います。
重力は引力の他に遠心力の影響も受け、大ざっぱに言えば「重力 = 引力 – 遠心力」です。 回転している物体は物を弾き飛ばす力が働き、自転している地球もその例外ではありません。 遠心力による差は微々たるものですが、もし回転速度が上がるなどして遠心力が引力を上回れば我々は宇宙に吹っ飛ばされます。
さてこの遠心力、場所によって変わるのは分かるでしょうか? 地球のような球体をイメージして、それを頭の中で回転させてみてください。
回転軸となる場所に近いほどゆったりと周り、軸から遠くなるほど早く回転するのが分かるでしょうか? 地球の場合、回転軸に近い=遠心力が弱いのが「極」で、回転軸から遠い=遠心力が強いのが「赤道上」です。
南極・北極は遠心力が働かないため、重力≒引力となります。 逆に遠心力が最も大きい赤道付近では、重力は遠心力の力で最も小さくなります。
重力は惑星の中心からの距離が近いほど強い
惑星表面にいる場合、重力は惑星の中心から距離が近いほど強くなります。 「惑星表面」と前置きがあるのは、穴を掘って中心に近づいた場合は重力が弱くなっていくからです。
惑星の中心から近いほど重力が上がるのであれば「穴を掘っていったら重力が強くなるのでは?」と疑問が浮かぶと思います。 これは「地下に掘り進めば自分より上の部分からの重力で相殺される」ためです。
例えばあなたが半径6400kmある地球の3200km地点まで掘り進んだ場合、あなたの上にある3200km分の質量はあなたを上に引っ張ります。 色々な方向から引っ張られて力は相殺され、あなたにかかる力は半径3200kmの球体から受ける力のみとなります。 中心に向かうにつれて重力は弱くなり、中心部まで行けばほぼゼロになります。
しかし惑星表面にいる場合は上には引っ張られないので、中心から近いほど引力は強くなります。 地球は完全な円形ではなく、やや横に長い楕円形です。なので「赤道は中心から遠く、南極・北極は中心から近い」です。
つまりは赤道付近の引力は弱く、南極・北極は引力が強いです。
物質は南極・北極では重く、赤道では軽い
前述の通り「重力 = 引力 – 遠心力」です。 極は引力が強く、遠心力がありません。赤道は引力が弱く、遠心力が強く働きます。
つまりは物の重さは極では重く、赤道では軽くなるのです。 100kgのものなら500gぐらい変わるそうなので、0.5%ぐらいの差があるということですね。
普通に暮らしている分にはほとんど何の意味もない数値ですが、これを利用しているものもあります。 例えばロケット発射基地は多くが赤道付近に作られます。ここまでくれば理由はもう分かりますね。「赤道上は重力が弱く、宇宙に飛び出すためのエネルギーが少なくて済む」からです。
ちなみに日本のロケット発射基地である「種子島宇宙センター」は鹿児島県にあり、北緯30°に位置します。 沖縄の方が赤道に近いのに種子島に作られた理由は、1969年に設立された頃には沖縄が日本領ではなかったからなのです。 もし沖縄がもっと早い段階で返還されていれば、宇宙センターも沖縄に作られたかもしれませんね。
種子島宇宙センターは屋久島のすぐ側にあり「世界一美しいロケット発射場」の呼び声も高いです。 豊かな自然とサンゴ礁の海に囲まれており、その姿は絶景です。施設見学ツアーなども用意されているのでおススメですよ。