人類の誕生と進化

人類の誕生
人類とサルを分類する基準に「直立二足歩行をしているか否か」が挙げられます。 直立二足歩行ならヒト、四足歩行ならサルという考え方です。
サルは四足歩行をしていましたが、樹上生活に適応するうちに2本の前足で樹を掴んで生活するようになります。 前足を器用に使える個体が有利な樹上生活を続けるうちに、前足は「手」として発達していきました。
やがて地上を歩く際にも、前足は補助的に使うに留まるようになります。 更に年月が経ち、四本歩行のサルは直立二足歩行のヒトへと進化したのです。
二足歩行には「脳が大きくなっても頭を支えられる」「2本の手を自由に使える」メリットがあります。 アフリカで誕生した人類は長い時間をかけて進化しながら世界中に勢力を広げ、高い知能と器用な手先によって作られた優れた道具によって世界中で繁栄するまでになりました。
人類の誕生年代
ヒトとは霊長類ヒト科ヒト属に属する動物のことを指します。 現代まで生き残っているヒト属は現代人であるホモサピエンスのみですが、かつて進化と淘汰の過程で色々なヒト族が存在していました。
最初の人類であり直立したサルのような見た目の「猿人」、サルとヒトの中間ぐらいの「原人」、現人類を含む「新人」に分けて考えられています。
以前は原人と新人の間に「旧人」という区分もありましたが、現在では新人に含まれるようになりました。
旧石器時代の始まり頃の人類は猿人のみでした。 しかし200万年もの旧石器時代の間に人類は猿人から原人へ、猿人から新人へと進化していきました。 そして旧石器時代が終わる頃には猿人、原人、新人の多くは滅亡し、我々ホモサピエンスのみが生き残ったのです。
猿人
猿人は約700万年前頃~約130万年前頃にいたと考えられている初期の人類です。 約580万年前に誕生した「アルディピテクス」や約400万年前に誕生した「アウストラロピテクス」などが有名です。
猿人の見た目はほとんどチンパンジーですが、尾がなく直立二足歩行している点がサルとの大きな違いです。 脳の大きさは現生人類の40%程度で、石を叩いて作った原始的な石器(ほとんどただの石)を利用していました。
原人
原人は約180万~15万年前頃にアフリカ~ユーラシア大陸に生息していた人類です。 有名なのはジャワ原人や北京原人がカテゴライズされている「ホモ・エレクトス」でしょうか。
人と猿の中間ぐらいの見た目をしており、脳の大きさは現生人類の75%と猿人と比べて大分大きくなっています。 石を磨いて作った磨製石器を使ったり、火を起こしたりもしていたようです。
旧人
40万~2万年前頃に生息していた「ネアンデルタール人」や、この頃の我々の我々の祖先「古代型サピエンス」を差す言葉です。 現在はこの区分は新人の中に含まれますが、使い勝手が良いので使わせてもらいます。
我々の祖先よりもネアンデルタール人の方が早く大陸に広がりましたが、我々との生存競争に敗れて絶滅してしまいました。 しかし若干ながらネアンデルタール人のDNAが現生人類の中に受け継がれていることから、ネアンデルタール人ともある程度共存していたと考えられています。
それを考えると現生人類はネアンデルタール人との混血であり、ネアンデルタール人の系譜は途絶えていないのかもしれません。
新人(ホモサピエンス)
新人は30万年前頃~現代まで生息している「クロマニョン人」「上洞人」などに代表される現生人類を指す言葉です。
新人は身体能力こそ大したことはありませんが、その高度な知能で道具を作ったり環境を自分に都合の良いように作り替える能力を持ちます。 特に農業が広まってからは爆発的に数が増え、世界中で繁栄するに至りました。
人類の移動
アフリカ大陸で誕生した人類は、数を増やしながら少しずつ世界中に広がりました。 5~6万年前にアフリカ大陸からユーラシア大陸へと進出し、3万年前にはユーラシア大陸の東西端まで広がります。
また当時は氷河期で海水面が低く、地続きだった東南アジア諸島やオーストラリア大陸まで人類が到達したのもこの頃です。 そして2万年前頃にベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へと進出、8000年前頃にはアメリカ大陸の南端まで到達しました。
ちなみに太平洋の島々へと進出したのは比較的最近です。 西の方に位置する島々に辿り着いたのは2~3000年前、東寄りのイースター島に着いたのは1400年前と考えられています。
大陸から遠く離れた島へと辿り着くのは、アフリカからヨーロッパ・アジアを横断してベーリング海峡を渡ってアメリカ南端まで歩くよりも難しかったようですね。