超ド級の「ド」は戦艦ドレッドノートのド

dreadnought

もの凄いものを表現するのに「超ド級」という言葉があります。 「超級」の意味は字面から何となく分かりますが、間に挟まっているカタカナの「ド」が謎ですよね。

実はこの「ド」、イギリスが1906年に進水した戦艦ドレッドノートを指しています。 つまり超ド級は、元々は戦艦ドレッドノートを超えるという意味だったのです。

戦艦ドレッドノートと超ド級

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戦艦とは文字通り戦う艦(船)のことで、船に積んだ大きな大砲で攻撃する兵器です。 日本では戦艦大和などが有名ですよね。

戦艦は第二次大戦の中頃までは海軍の主力兵器でした。 しかし日本の真珠湾攻撃において戦艦で撃ち合う前に「飛行機で爆撃して軽く損害を与えてから海戦しよう」となったところ、想像以上の戦果をあげ、航空戦力と戦艦の評価が大きく見直されていきます。それからの軍艦は戦艦から徐々に飛行機を積んだ空母にシフトしていき、現在は戦艦を運用する国はなくなりました。

ちなみに真珠湾で多大な戦果をあげた当の日本は、旧来の強力な戦艦を運用する大艦巨砲主義からの脱却に失敗しています。 ミッドウェー海戦でボロボロに負けてようやく航空戦力の重要性を認めるも完全な方針の切り替えはできず、敗北を余計に加速させることとなりました。

しかし航空戦力が発達していなかった頃の戦艦は海の決戦兵器であり、より強い戦艦を持つことこそがより強い海軍を持つことに直結しました。 軍事力の評価はどんな戦艦をどれだけ保有しているかが重視されていた時代があったのです。

さてそんな戦艦ですが、威力が大きく射程の長い大砲を積むことが重要でした。 戦艦同士の戦いで一方だけの射程が長いと、その距離を保てば一方的に撃ちたい放題になりますからね。 また一方的な射撃を実現するための速度も重視されました。

そんな設計思想を重視してイギリスが作ったのが戦艦ドレッドノートです。 旧来は大口径の主砲と小さめの副砲を沢山積むのが主流でしたが、口径が小さいと遠くまで届かず命中も芳しくありません。 なので副砲全て取っ払って代わりに主砲だけを沢山積み、火力と命中率を向上させました。 また蒸気タービンの採用により、旧来の戦艦の1割増しの速度を実現しています。

色々革新的な試みがされたドレッドノートは従来の全ての戦艦を過去の物とするほどの性能を誇りました。 なお最も多くの戦艦が過去の物になった国は、最強の海軍戦力を保有していたイギリスです。

そんな革新的な戦艦であるドレッドノートの設計思想に各国も追従し、類似した戦艦が沢山作られることとなり、それらをドレッドノート級の「ド級」と呼ぶようになりました。 更に各国で戦艦は競うように開発され、数年後にはドレッドノートを上回る通称「超ド級」の戦艦も建造されていきました。 二次大戦では超ド級が当たり前で、さらにそれを上回る超々ド級戦艦も参戦しています。ちなみに戦艦大和は超々々ド級戦艦だそうです

そんなド級戦艦の「ド級」は、転じて革新的・圧倒的・強力・巨大なものの意として使われるようになり、現在に至ります。 本来の意味の「超ド級」は50年以上前に時代遅れになっていますが、まあそんな感じなのです。

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