マツタケが高い理由は人工栽培が難しいため

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秋の味覚マツタケは高級食材の代表格です。 高いものになると1本1万円を超え、松茸ごはんなどが出てくると「お、今日は贅沢だな!」なんて思っちゃいますよね。

同じきのこのシイタケなんて、1個20円ぐらいで買えたりします。 これは人工栽培による大量生産の成果ですが、それではなぜマツタケは大量生産して低価格にしないのでしょうか。

答えはマツタケの人工栽培が難しく、手法が確立されていないからです。 試み自体は何度かされているようですが、なかなか難しいようですね・・・

キノコが育つ仕組み

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キノコは栄養をどうやって得るかで2種に分けることができます。 遺体から栄養を摂取するものを「腐生菌」、生物から栄養を摂取するものを「共生菌」と言います。

キノコは植物だと思っている人が多いですが菌類です。 普段我々が見ているキノコは胞子を作るための「子実体」と呼ばれる菌の塊で、細胞ももちろん菌類のものなのです。 菌類の中で大きな傘状の子実態を形成するのがキノコ、しないのがカビなんて分けかたもあります。

腐生菌

倒木や老廃物などの生物遺体から栄養を取って成長するものを「腐生菌」と言います。 シイタケやマイタケなどが代表格で、人工栽培が可能なのは大体が腐生菌です。

シイタケの栽培を例に見てみましょう。 1mほどに切った木の幹を乾燥させた「原木」にシイタケ菌を繁殖させた木片を打ち込んで、適切な環境に置いていれば原木の栄養を使ってシイタケがニョキニョキと生えてきます。栽培農家は何千何万本もの原木を並べてシイタケを育てるので、その収穫数は膨大なものになります。

共生菌

生きている生物から栄養を摂取して成長するものを「共生菌」と言います。 共生菌は宿主との関係で2種に分類され、一方的に寄生する形のものを「寄生菌」、共生関係にあるものを「菌根菌」と言います。 シメジ、マツタケ、冬虫夏草などがこれに分類されます。

これらを人口栽培するには生きた宿主が必要であるため、腐生菌に比べて難易度が高いです。 ホンシメジなど栽培方法が確立されているものもありますが、マツタケは今のところ大量生産できるような仕組みはありません。

マツタケが育つには適齢のアカマツが必要

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マツタケは共生菌の菌根菌であり、アカマツに根を張って成長します。 樹齢20~40年ほどのアカマツに最も活発に生え、互いに自分が作れない栄養を補い合って成長します。 なのでマツタケが育つアカマツは生育が良いなんて言われています。

マツタケが生えるには他にも日照量やら土壌の栄養やら気温やら湿度やら色々条件がありますが、とりあえず重要なのは「マツタケの人工栽培には樹齢20~40年頃の生きたアカマツが必要」ということです。もしマツタケ農家をやろうとすれば大量のアカマツが必要になり、しかも定期的な植え替えが必要です。とてつもなく手間がかかりますので、1本100円で提供するようなことはできません。

また日本ではアカマツの個体数も減少しています。 江戸時代の頃はよく燃える薪としてアカマツが用いられていて、そのためアカマツ林が整備されていました。 しかし石炭・石油などに置き換わるにつれて整備されなくなり、その数を大きく減らしています。 そしてアカマツが減ればマツタケも減ってしまうのです。

国内外で低コスト化に向けてマツタケ人工栽培の取り組みが行われていますが、今のところは成果はあまり芳しくありません。 なのでマツタケを食用としない国や、広大なアカマツ林を持つ国から輸入するのが現状では安くついています。 しかしマツタケは鮮度が重要であるため、時間のかかる輸入物は質に劣るものとされています。

しかしマツタケの人工栽培への取り組みは根強く続いています。 成功した暁にはスーパーで1本100円でマツタケが販売される日が来るかもしれません。 それはそれでありがたみがない気もしますが、そうなるといいですね。

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