迷信行動に見る迷信ができるメカニズム

cat

世の中には色々な迷信があります。「黒猫を見ると不吉」「風邪はうつすと治る」「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」などなど・・・今日では一笑に付されるものも多いですが、それでも中々無くなりません。

このような迷信がなぜ作られるのかと言えば、人間の脳が迷信を信じるように出来ているからです。 困ったものですね。

スキナーのハトの迷信行動

pigeons

1951年、アメリカの心理学者であるスキナー氏によって以下の実験が行われました。

押すとエサが出てくるボタンの付いた箱があり、そこにハトを入れます。 ハトは当初ボタンが何なのか分かりませんが、そこで過ごすうちに何かの拍子でボタンが押されエサが出てきます。 やがてハトは「ボタンを押すとエサが出る」ことを学習し、エサが欲しくなればボタンを押すようになります。

このハトは正しい認識を持つことができました。 ではこれを踏まえて別の実験を見てみましょう。

一定時間ごとにエサを自動で出す箱の中にハトを入れます。 エサは時間をトリガーに出てくるのでハトの行動には関係しませんが、しかしハトはエサが出てきた時に取った行動こそがエサを出す行動であると認識してしまいます。 ウロウロ歩く、羽をばたつかせる、首を傾げる、じっと動かないなど行動は様々ですが、それをし続けるとやがて時間が来て次のエサが出てきます。 そうしてますます「これこそがエサを出す行動である」と認識するのですが、しかし実際のところは関係ありません。

こうしてハトは間違った認識を得るに至ったのですが、このプロセスが迷信を信じる人のそれに似ていたため「ハトの迷信行動」と呼ばれるようになりました。

このハトを傍から見ると「なんて愚かなハトなんだろう」と思うかもしれませんが、これは知能の高い動物に広く見られる行動なのです。 人間も例外ではなく似たようなことをやっているんですよね。

雨ごいに見る人の迷信行動

rain

「雨ごいの儀式」なんてのが世界中で見られますが、この成立にも似たようなプロセスがあったと思われます。 雨に降って欲しい際に以前雨が降った時に何があったかを考え、再度やってみて雨が降ったら「これこそが雨を降らせる行動である」と雨ごいの儀式が成立した訳です。 スキナーのハトの迷信行動と同じですね。

雨ごいの儀式は雨が全然降らない時に始められ、ひたすら雨ごいを続け効果がなければ別の雨ごい師を呼んだりします。 雨ごいは大抵の場合に雨が降るまで続けられるので、やっているうちにいずれ雨が降ります。 そして実際のところは天気なんて人間が干渉しようがないのに、雨ごいが天気が変えたのだと信じてしまうのです。

こういった本来関係のない2つの出来事を結びつけて考えることを「錯誤相関」と言います。 錯誤相関が起きる理由は人の記憶に原因があります。

人は全ての物事を同じように記憶する訳ではなく、普段と違うことや強く感情が動いたことを強く記憶します。 なので過去に起きた成功や失敗が何によるものなのかと考えた時、普段と違った行動や事象が思い出されます。 そして2つを因果関係で結び付ければ立派な迷信の完成です。

科学的手法で考えるならば普段通りだったことも同様に考慮し、何が事象に影響を及ぼしたのか(あるいは及ぼしていないのか)考えなければなりません。 雨ごいであれば、「雨ごいした・雨ごいしない×雨が降った・雨が降らない」の4パターンを検証しなければ本当の相関関係は分かりません。

しかし人間は「雨ごいした」と「雨が降った」のパターンのみが強く記憶に残るため、この2つを錯誤相関してしまいます。 つまり人間は本能的に科学的ではないのです。自分が錯誤相関しないなんてことはないですし、他人の錯誤相関を訂正するには大変な労力が必要になるのは肝に銘じておきましょう。

思い込みが力になる場合もある

迷信のひとつに「ゲン担ぎ」があります。 お守りを持っていくとか、大事なイベントの日には色の違う靴下を履くとか、まあ色々ありますよね。

これは迷信行動ではあるのですが、実際にプラス方向に働くことがあります。 「プラシーボ効果」と言って、効果があると信じ込めば実際に自信に繋がったり効果が出たりするのです。

この効果がますます迷信をややこしくしている気はしなくもないですが・・・
まあ迷信だと切り捨てるのではなく、かと言って迷信を鵜呑みにするでもなく、上手く迷信と付き合いましょう。

雑学王 HOME